SHARE トラフ建築設計事務所による、東京・渋谷区の「イソップ・ジャパン 東京オフィス」。隣合う2棟を同時に改修。局所的な解体での“ブランドらしい空間”の構築を目指し、既存も素材と捉え新旧を丁寧に選択して組合せる設計を志向。壁面等の再塗装には商品包装に使われる“クリーム色”を採用
トラフ建築設計事務所が設計した、東京・渋谷区の「イソップ・ジャパン 東京オフィス」です。
隣合う2棟を同時に改修する計画です。建築家は、局所的な解体での“ブランドらしい空間”の構築を目指し、既存も素材と捉え新旧を丁寧に選択して組合せる設計を志向しました。また、壁面等の再塗装には商品包装に使われる“クリーム色”を採用されました。施主企業の公式サイトはこちら。
トラフで継続して店舗内装を手掛けている、オーストラリアのスキンケアブランド イソップの、東京オフィス内装計画。
隣り合う2棟の建物を同時にリノベーションした。2棟共通して取り組んだのは、入居テナントの変遷によって重ねられてきた内装の履歴を読み解き、局所的に解体する手法を用いて、イソップらしい空間へ昇華させることである。また、持続可能性にも配慮をし、解体して出た木梁を将来店舗などで利用できるように一部保存したり、会議室の扉や照明器具も既存の建物や移転前のオフィスにあったもの、店舗で使わなくなったものなどを積極的に転用した。
A棟は2階建ての家形が特徴の小さな鉄骨造の建物である。
1階はエントランス入ってすぐイソップのアロマのインスタレーションが出迎え、低い壁で仕切られた奥に執務空間が広がる。エントランスにココヤシのカーペットを敷き詰めた以外は既存のモルタル床を活かし、壁はイソップのパッケージにも使われるクリーム色で再塗装した。
B棟は大きな吹き抜け空間が特徴の鉄筋コンクリート造の3階建てで、執務室の他に、研修のための部屋や皆で食事をとることのできるキッチン付きのダイニング、パントリーなどが求められた。
1階の執務空間は、既存のオープンなスペースとフローリングを活かしたまま、壁と天井をイソップのパッケージにも使われるクリーム色で再塗装した。
イソップ・ジャパン 東京オフィス A棟
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イソップ・ジャパン 東京オフィス B棟
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以下、建築家によるテキストです。
トラフで継続して店舗内装を手掛けている、オーストラリアのスキンケアブランド イソップの、東京オフィス内装計画。
隣り合う2棟の建物を同時にリノベーションした。
2棟共通して取り組んだのは、入居テナントの変遷によって重ねられてきた内装の履歴を読み解き、局所的に解体する手法を用いて、イソップらしい空間へ昇華させることである。また、持続可能性にも配慮をし、解体して出た木梁を将来店舗などで利用できるように一部保存したり、会議室の扉や照明器具も既存の建物や移転前のオフィスにあったもの、店舗で使わなくなったものなどを積極的に転用した。
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A棟は2階建ての家形が特徴の小さな鉄骨造の建物である。
1階はエントランス入ってすぐイソップのアロマのインスタレーションが出迎え、低い壁で仕切られた奥に執務空間が広がる。エントランスにココヤシのカーペットを敷き詰めた以外は既存のモルタル床を活かし、壁はイソップのパッケージにも使われるクリーム色で再塗装した。
フォーンブースは入れ子状のボックスとしてバーチ材で仕上げ、執務空間とバックスペースとの間に配置し、建築と家具の間のような存在にすることで、一室空間をゆるやかに分節している。2階では、壁を解体して現れた床の補修箇所は既存のフローリングを増し貼りするのではなくモルタルで埋めて建物の履歴として残した。
建物をフルスケルトンにしてしまうのではなく、既存部分も素材のひとつとして捉えて、新旧の組み合わせをパッチワークのように丁寧に選択しながら、イソップらしい豊かで温かみのある空間を目指した。
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B棟は大きな吹き抜け空間が特徴の鉄筋コンクリート造の3階建てで、執務室の他に、研修のための部屋や皆で食事をとることのできるキッチン付きのダイニング、パントリーなどが求められた。
1階の執務空間は、既存のオープンなスペースとフローリングを活かしたまま、壁と天井をイソップのパッケージにも使われるクリーム色で再塗装した。会議室やフォーンブースなどの個室だけを入れ子状のボックスとしてバーチ材で仕上げ、執務空間とバックスペースとの間に配置し、建築と家具の間のような存在にすることで、一室空間をゆるやかに分節している。
既存の壁や階段を解体して現れた床の補修箇所はフローリングを増し貼りするのではなくモルタルで埋めて、建物の履歴として残した。吹き抜け空間ではタスクライトとアッパーライトによる間接照明で執務に必要な照度は確保しながら、トップライトによる自然光の影響を受けて時間や天候の変化を感じられるような光環境とした。
2階の研修兼会議室は用途に合わせて様々なレイアウトが可能なように、取り外しの出来るミニテーブル付きの椅子と、AA HIGH STOOLに天板を載せた大きなテーブルといった、フレキシブルな家具を提案した。3階はもともと飲食店だった場所を活かして長いテーブルを置いてダイニングとし、2棟に分かれて仕事をする社員たちが交流する場所にもなっている。
■建築概要
所在・会場:東京・表参道
主要用途:オフィス
施工:JPDH
照明計画:BRANCH LIGHTING DESIGN
A棟延床面積:S造 280.39m2
B棟延床面積:RC造 555.39m2
設計期間:2022年4月~2022年9月
施工期間:2022年8月~2022年10月
写真:阿野太一
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
内装・床 | トイレ床 | |
内装・壁 | 会議室壁 | バーチ合板 |
内装・壁 | 壁 | PB AEP |
内装・造作家具 | 洗面天板 |
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※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません
The interior design for the Tokyo office of Australian skincare brand Aesop, whose store interior designs TORAFU continues to work on.We renovated the two adjacent buildings at the same time.
The common approach we took for the two buildings was interpreting the history of the interior layered by the changes of previous tenants and embodying Aesop’s character in the interior by using partial demolition. In addition, we paid considerable attention to sustainability.
We actively preserved the disassembled wooden beams for future use in stores, as well as repurposing items such as meeting room doors and lighting fixtures from the office before relocation, and other things that were no longer used at the store.
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Office A is a small steel-framed building that features a two-story house structure. On the first floor, Aesop’s aroma installation welcomes visitors at the entrance, and the office space extends behind a low wall. The existing mortar floor is fully utilized, except for the coconut carpet area at the entrance. The walls are re-painted in the cream color used for Aesop’s packaging.
The phone booth is a nested box with a birch wood finish, installed between the office and the back space. This installation contributes to making the booth a hybrid of architecture and furniture, gently dividing the single-room space. On the 2nd floor, we filled the repaired parts of the floor that appeared after dismantling with mortar instead of covering them with new flooring of the same material, to leave them as a part of the building’s history.
While avoiding turning the building into a complete skeleton, we considered the existing parts as one of the materials. We carefully selected the combination of old and new like a patchwork, aiming to create a rich and warm space typical of Aesop.
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Office B is a three-story reinforced concrete building with a large atrium space. In addition to the office, there was a request for a training room, a dining room with a kitchen where employees can have meals together, and a pantry.
For the office space on the first floor, the walls and ceiling are re-painted in the cream color, used for Aesop’s packaging, while maintaining the existing open space and flooring.
Only private rooms such as the meeting room and the phone booth, were finished with birch wood as nested boxes. We installed the rooms between the office and backspace and defined them as hybrids of architecture and furniture, which gently divide the single-room space.
We used mortar to fill the repaired parts of the floor that appeared after the dismantling of existing walls and staircases instead of covering them with new flooring of the same material, to leave them as a part of the building’s history. In the atrium space, indirect lighting with task lights and upper lights ensures the illuminance necessary for work, while the natural light from the top lights creates a lighting environment where changes in time and weather can be felt.
For the training and conference room on the second floor, we proposed using flexible furniture such as chairs with removable mini tables and a large table with a top plate on AA HIGH STOOL so that various layouts can be arranged according to the purpose. On the third floor, which was a restaurant, is a dining room with a long table where employees working separately in the two buildings can communicate.
Aesop Japan Tokyo office
Building site: Tokyo Omotesando
Principle use: OFFICE
Production: JPDH
Credit: Lighting design: BRANCH LIGHTING DESIGN
A Total floor area: S 280.39m2
B Total floor area: RC 555.39m2
Design period: 2022.04-2022.09
Construction period: 2022.08-2022.10
Photo: Daici Ano