SHARE 小笠原優建築設計事務所による、石川の住宅「t邸」
小笠原優建築設計事務所が設計した、石川の住宅「t邸」です。
地方都市郊外に建つ、若い家族のための住居である。積雪量1m超の豪雪地帯に建つ木造家屋であり、周囲には住宅や店舗、畑や町工場などが混在している。
構成は、単純かつ複雑である。経済性と積雪等に配慮して、寸法はすべて在来工法の基準寸法で統一し、屋根はシンプルな片流れとした。二階はほとんど無駄がなく、ほぼ要求条件の最適解に等しい。徹底してリーンである。一方で、一階の主空間には平面的複雑さとシークエンスの冗長さが伴う。視線は壁や家具に遮られ、空間の端緒は見えない。常に何処かが隠れている。これらは工法による制約から生じた結果でもある。大きな室容積が確保できないため、必然的にいくつものヴォリュームが対角線状に連なる。耐力壁が視界を横切る。それによって風景は多様に見えがくれし、空間に奥行きと拡がりがうまれる。
敷地の南側には既存の大きな庭があり、建物は北側に寄せ東西方向に長く配置した。梁間方向に生じる耐力壁や袖壁は庭への志向を高め、それぞれの空間をゆるやかに分節する。天井高を抑えた玄関ホールや垂直に立ち上がる階段室、掘り込まれたリビングや庭に張り出したダイニングなど、アプローチから建物の内奥にいたるまで、各々の空間は多様に振幅しながら様々な対比とグラデーションを描く。
以下の写真はクリックで拡大します
■建築概要
主要用途:専用住宅
所在地:石川県
設計監理:小笠原優建築設計事務所
施工:アイアール不動産ホーム
規模構造:木造2階建
敷地面積:446.26㎡
建築面積:118.21㎡
延床面積:162.82㎡
竣工:2019年4月