SHARE 井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studio Inc.による、神奈川・横浜市の「木塊の社員寮」
井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studio Inc.が設計した、神奈川・横浜市の「木塊の社員寮」です。
社員寮というと小さな部屋が規則的に並んでいる、いい方は悪いが収容所のようなイメージが強かった。
以前使用していた寮は、中廊下は薄暗く、風通しが悪い状態で、仕事の疲れを癒す場所とは言えないような状態であった。新しい社員寮は、帰ってきたくなるような温かい建物にしたいと考え、木で作ることを念頭に設計を進めた。
建築上の用途は寄宿舎で特殊建築物ではあったが、法規制限上木造で建てられる大きさであったので、木造とし、外壁は防火構造、内部は不燃認定が取れている無垢の木材を利用し、外部と内部を木で仕上げている。
丁度、家の形をした木の塊の中央をくりぬいたような場所が、社員部屋の中廊下となり、光や風や視線が抜ける心地よいホールとなる。
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以下、建築家によるテキストです。
横浜に社員寮の計画。
計画地は、中規模の集合住宅や会社、住宅地が混在するエリア。
施設を利用する社員のための駐車場の台数を最大限とりたいという要望と、建物は最大限の面積を確保したいという両方のバランスを考えながらの計画。
敷地の周りに高低差があり、敷地全体がくぼみの中にあるような状態。南側の隣地には住宅が建つ予定でそのことを考慮すると採光面で不利になることが予想されたので、居住部分を2Fへと持ち上げて、1F水回りや収納、その他のユーティリティスペースを設ける計画とした。
2Fのレベルまでくると、隣地には緑地や、向こう側の山並みが見えたりするため、居住空間の廊下を広く計画し光や風が抜ける社員がくつろげるスペースとしている。
「木でつくる」
社員寮というと小さな部屋が規則的に並んでいる、いい方は悪いが収容所のようなイメージが強かった。
以前使用していた寮は、中廊下は薄暗く、風通しが悪い状態で、仕事の疲れを癒す場所とは言えないような状態であった。新しい社員寮は、帰ってきたくなるような温かい建物にしたいと考え、木で作ることを念頭に設計を進めた。
建築上の用途は寄宿舎で特殊建築物ではあったが、法規制限上木造で建てられる大きさであったので、木造とし、外壁は防火構造、内部は不燃認定が取れている無垢の木材を利用し、外部と内部を木で仕上げている。
丁度、家の形をした木の塊の中央をくりぬいたような場所が、社員部屋の中廊下となり、光や風や視線が抜ける心地よいホールとなる。
前面の広場は、駐車場となり車で埋め尽くされるため、利用時は、駐車場の上に家の形をした木の塊が浮いたように顔を出す。
周囲の住宅地よりワンサイズ大きな建物となったが、無垢の木の仕上げが、その巨大さを和らげるとともに、安心感を与えているようにも感じる。
■建築概要
所在地:神奈川県横浜市
規模:木造2F約300㎡
主用途:社員寮
竣工:2019年
構造:川田知典構造設計
施工:株式会社坂牧工務店
写真:渡邊聖爾(わたなべせいじ)