
SHARE アンサンブル・スタジオを協働パートナーに迎えた、イッセイ ミヤケによる「ザ・ペーパーログ:膜と核」。21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3での展覧会。ブランドの製品をつくる過程から生まれる副産物を素材として制作。“繊細さと頑丈さ”という相反する要素を対話させる様に作品を構成
- 日程
- 2026年8月13日(木)–9月13日(日)



アンサンブル・スタジオを協働パートナーに迎えた、イッセイ ミヤケによる「ザ・ペーパーログ:膜と核」です。
21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3での展覧会です。ブランドの製品をつくる過程から生まれる副産物を素材として制作されました。また、“繊細さと頑丈さ”という相反する要素を対話させる様に作品を構成しています。会期は、2026年9月13日まで。
「ペーパーログ」とは、イッセイ ミヤケ独自の技法「製品プリーツ*1」で生まれる副産物、プリーツがかかった薄い紙を圧縮したロールのことです。この紙はプリーツ加工の際にマシンに入れる生地を挟んで保護するものとして用いるもので、加工後輸送および処分の効率化のために、ロール状に圧縮されています。その丸太のような形にちなんで、名付けられたペーパーログは、断面のマーブル模様が年輪を想起させ、プリーツ加工の時間の流れが刻まれています。素材としては実際の丸太のように、ペーパーログは「削る」「切る」、あるいは「剥ぐ」「広げる」といった加工によって成形することができ、吸水性があるため、仕上げ剤などの溶液を染み込ませることで質感を変化させることも可能です。
三宅デザイン事務所のデザインディレクターの一人である近藤悟史は、ペーパーログに可能性を感じ、これをカットしてスツールを制作し、パリで行われた「ISSEY MIYAKE 2025 年春夏コレクション」の発表の座席およびインスタレーションとして使用しました。スツールの制作は、その可能性を探求する第一歩でした。研究開発が進むにつれて、プロジェクトの範囲は社内チームだけにとどまらず、アンサンブル・スタジオとの協働へと拡大しました。近藤はアンサンブル・スタジオをプロジェクトに招き入れ、実験と実践のための素材としてペーパーログを提供しました。
アンサンブル・スタジオによる作品群「膜」は、ペーパーログから剥がした紙で自由に造形したり、既存のオブジェに覆ったりして、硬化剤を施して完成したもので、紙の襞(ひだ)、シワ、そして折り目の一つひとつが結晶化されたかのようなオブジェです。 他方、イッセイ ミヤケのプロジェクトチームによる作品群「核」は、スツール、椅子、テーブルといったプロトタイプで構成されています。これらは、蝋(ロウ)に浸す、糊で固める、束ねるなど、素材の特性を探求するための加工がなされました。
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以下、リリーステキストです。
プロジェクトについて
「ペーパーログ」とは、イッセイ ミヤケ独自の技法「製品プリーツ*1」で生まれる副産物、プリーツがかかった薄い紙を圧縮したロールのことです。この紙はプリーツ加工の際にマシンに入れる生地を挟んで保護するものとして用いるもので、加工後輸送および処分の効率化のために、ロール状に圧縮されています。その丸太のような形にちなんで、名付けられたペーパーログは、断面のマーブル模様が年輪を想起させ、プリーツ加工の時間の流れが刻まれています。素材としては実際の丸太のように、ペーパーログは「削る」「切る」、あるいは「剥ぐ」「広げる」といった加工によって成形することができ、吸水性があるため、仕上げ剤などの溶液を染み込ませることで質感を変化させることも可能です。
三宅デザイン事務所のデザインディレクターの一人である近藤悟史は、ペーパーログに可能性を感じ、これをカットしてスツールを制作し、パリで行われた「ISSEY MIYAKE 2025 年春夏コレクション」の発表の座席およびインスタレーションとして使用しました。スツールの制作は、その可能性を探求する第一歩でした。研究開発が進むにつれて、プロジェクトの範囲は社内チームだけにとどまらず、アンサンブル・スタジオとの協働へと拡大しました。近藤はアンサンブル・スタジオをプロジェクトに招き入れ、実験と実践のための素材としてペーパーログを提供しました。
「このプロジェクトは、本来副次的あるいは末端的と捉えられていたものに、新しい視点を通じて価値を見出だすことを趣旨としています。この取り組みを発表することで、様々なクリエイティブな視点による関心や議論が広がることを期待しています。三宅が『PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE』をつくった時に込めた想いをもって、私たちはこのプロジェクトを通じて、プリーツ製品の副産物を単にリサイクルするだけではなく、それを超えた何か新たな価値を与えることで、人々の日々の生活を豊かにしていきたいと考えています」近藤悟史(MIYAKE DESIGN STUDIO デザインディレクター)
アンサンブル・スタジオの活動は、絶え間ないリサーチと素材への深い理解に基づいています。素材と徹底的に向き合い、ルールや先入観の裏に潜む素材の本質を捉えることで、デザイン、工芸、構造を統合した直接的なアプローチを展開しています。その研究開発の綿密さとは対照的に、その手法はミニマル、あるいはプリミティブとも言えるものであり、その表現は軽やかで、素材そのものの美しさを際立たせます。作り手の作為を感じさせないその作品性が、アンサンブル・スタジオが本プロジェクトの理想的なパートナーである理由です。アンサンブル・スタジオとイッセイ ミヤケのチームは、クリエイションにおいて「プロセス」を一番に重んじる姿勢で通じ合っています。試行錯誤を重ねる過程を経験してこそ、新たな発想や洞察が生まれ、未来のさらなる発展へとつながるのです。
*1 製品プリーツ イッセイ ミヤケによるプリーツ加工技法。プリーツ加工済みの生地を裁断して衣服をつくる従来の方法と は異なり、生地を衣服のかたちに縫製した後にプリーツ加工を施すことで、衣服のデザインと襞(ひだ)を含む表情を一つ の工程で完成させる。
インスタレーションについて
アンサンブル・スタジオによる作品群「膜」は、ペーパーログから剥がした紙で自由に造形したり、既存のオブジェに覆ったりして、硬化剤を施して完成したもので、紙の襞(ひだ)、シワ、そして折り目の一つひとつが結晶化されたかのようなオブジェです。 他方、イッセイ ミヤケのプロジェクトチームによる作品群「核」は、スツール、椅子、テーブルといったプロトタイプで構成されています。これらは、蝋(ロウ)に浸す、糊で固める、束ねるなど、素材の特性を探求するための加工がなされました。
ミラノでの発表は、膜と核のもつ「儚さと実体」、「繊細さと頑丈さ」といった相反する要素を対話させるように作品を構成しました。このような対話は、アンサンブル・スタジオとイッセイ ミヤケのプロジェクトチームのそれぞれの制作過程とその背景を記録したドキュメンタリー映像を通じても表現されます。同じ展示構成を採った日本で開催する本展では、展示什器が一新され、さらに作品同士を密接に配置することで、それぞれの質感を際立たせ、膜と核の関係性がより鮮明に、かつ新しく浮かび上がります。
アンサンブル・スタジオより、制作コンセプトについて
素材は記憶を保持する。
イッセイ ミヤケにおけるプリーツ加工で使用された紙は、その工程による圧力、リズム、そしてフォルムの痕跡を保っています。通常、用途が果たされて処分されるものだが、素材そのものが使い尽くされたわけではなく、物質として価値が残っています。それは軽さであり、透光性であり、襞(ひだ)によって仕付けられた構造性であり、そして今までの形態を記憶していることです。本プロジェクトは、その記憶に耳を傾けることを起点に、この素材の「形を保つ」、「ボリュームをつくる」、そして「柔らかいのに構造性をもつ」性質を探求しました。イッセイ ミヤケの服づくりから私たちが学んだのは、衣服が複数の層として、いかに空間をつくり出し機能するかということです。それは単に身体を覆うものではなく、布と身体の間に間隔と空気をつくり、まるで自律性をもつ「離れる皮膚(アウター・スキン)」ということです。
この概念を日常にあるオブジェへと解釈すると、プリーツのかかった紙は「第二の皮膚」となり、馴染みのあるフォルムを包み込み、新たな存在になります。硬化剤によって紙は固定され、あたかも硬化したかのように、その折り目は永続的なものとなります。一時的であったものが、恒久的なものへと変わるのです。
この素材は衣服のための型枠(フォームワーク)として、今までの営みの痕跡を保ちながら、新たな形態、大きさ、そして機能へと適応していきます。記憶は消去されるのではなく、変容するものです。価値は継続することによって見出だされ、ファッションと建築、柔軟性と恒久性、過去と未来の間に存在する作品を生み出します。
アンサンブル・スタジオより、この協業について
イッセイ ミヤケとの協業は、最初の会話となる「問い」から生まれました。「すでにデザインによって形づくられた素材に対して、その蓄積された『情報』を失わせることなく、いかに第二の生を与えることができるか?」
このプロジェクトは、往復して互いの知識を伝達するというより、並行作業のかたちで展開しました。双方がそれぞれの専門分野、衣服デザインと建築から同じ素材に取り組み、異なる感性、手法、問いを持ち寄りました。交換、観察、実験を通じて、この協業は相互学習と相互補完の場となりました。
プリーツ加工、着重ねること、そして身体と素材の関係に対するイッセイ ミヤケの深い理解は、建築においてフォルム、構造、空間の存在への探求に示唆を与えました。その示唆によって、固定化、スケールの切り替え、素材の安定化といった建築的プロセスにおいては、紙本来の用途を超えた新しい可能性を切り拓きました。
デザインと建築の交差点において、本プロジェクトは一つのアートのかたちとして役割を果たします。つまり、それは専門分野の垣根を超えて、プロセスによって同じ定義とされるものです。本展は、素材の実験、記憶、変容が共通言語となる、共通する領域を提示するものであります。
アンサンブル・スタジオについて
2000 年に設立された、建築家アントン・ガルシア=アブリル(Anton Garcia-Abril)とデボラ・メサ(Debora Mesa)が率いる多職能の建築設計事務所。芸術と科学の交差点で、研究とプロトタイプ制作を行うラボラトリーとして活動し、デザインと建設を不可分なプロセスと捉え、その活動は、タイポロジー、素材、製造方法を統合する実験を通じて建築を前進させている。スタートアップ企業「WoHo」を通じて、彼らは工業化するロジックと手仕事の知識を統合し、建築の質、費用対効果、持続可能性の向上に注力している。実務に加え、学界にも深く関与しており、メサはチューリッヒ工科大学(ETH Zurich)で建築・芸術・テクノロジーの教授を、ガルシア=アブリルはマサチューセッツ工科大学(MIT)で建築学の教授を務めている。
■展覧会概要
ザ・ペーパーログ:膜と核 ̶ イッセイ ミヤケによるアンサンブル・スタジオとの協業プロジェクト
会期:2026年8月13日(木)~9月13日(日)
会場:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3
東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン
入場料:無料




