architecture archive

武田幸司 / Ginga architectsによる、山形市の住宅「空と軒下の間」。積雪と猛暑が特徴の地域での計画。除雪と日差しへの対応を意図し、諸室を持上げて地上階を駐車や遊びの為の“半外部空間”とする構成を考案。上階は中央に吹抜を設けて“空への意識を高める”一室空間として作る
武田幸司 / Ginga architectsによる、山形市の住宅「空と軒下の間」。積雪と猛暑が特徴の地域での計画。除雪と日差しへの対応を意図し、諸室を持上げて地上階を駐車や遊びの為の“半外部空間”とする構成を考案。上階は中央に吹抜を設けて“空への意識を高める”一室空間として作る外観 photo©小関克朗
武田幸司 / Ginga architectsによる、山形市の住宅「空と軒下の間」。積雪と猛暑が特徴の地域での計画。除雪と日差しへの対応を意図し、諸室を持上げて地上階を駐車や遊びの為の“半外部空間”とする構成を考案。上階は中央に吹抜を設けて“空への意識を高める”一室空間として作るピロティから玄関を見る。 photo©小関克朗
武田幸司 / Ginga architectsによる、山形市の住宅「空と軒下の間」。積雪と猛暑が特徴の地域での計画。除雪と日差しへの対応を意図し、諸室を持上げて地上階を駐車や遊びの為の“半外部空間”とする構成を考案。上階は中央に吹抜を設けて“空への意識を高める”一室空間として作る2階、左:ダイニングキッチン、中:吹抜、右:リビング photo©小関克朗

武田幸司 / Ginga architectsが設計した、山形市の「空と軒下の間 / 山形の住宅」です。
積雪と猛暑が特徴の地域での計画です。建築家は、除雪と日差しへの対応を意図し、諸室を持上げて地上階を駐車や遊びの為の“半外部空間”とする構成を考案しました。また、上階は中央に吹抜を設けて“空への意識を高める”一室空間として作られました。

山形市中心部の密集地に立つ、軒下空間と空いた中庭から、ぽっかりと切り取られた空が見える、平家のボリュームが軽やかに浮かんで見えるような住宅である。

敷地は、山形城址北東部、2、3階建ての建物や貸駐車場に隣接する山形市の中では街中の建物が混在する密集敷地である。
眺望が望める環境とはなかなか言い難い。奥に両親が住む母屋があり、手前を貸し駐車場としていた場所へ、住宅を増築する計画である。

家族分の駐車場としての台数を確保すること(山形では家族一人一台が基本である)、奥の母屋へのアプローチを確保すること、街中でありながらも抜けのある開放的で魅力的なリビングなどを求められた。

建築家によるテキストより

私も出身は山形であり、気候条件は肌身をもって重々承知である。冬は雪が多く降り寒く、夏は盆地特有の厳しい暑さになる過酷な気候条件の山形という土地柄のことも考慮し、1階はできるだけガランとしたピロティ形式とし、それ以外の居住空間を2階に持ち上げる建ち方とした。そうすることで、母屋へのアプローチを確保し、家族分の駐車場を確保している。

建築家によるテキストより

1階は玄関と寝室空間を最小限に設け、それらのボリュームを柱脚に見立て、ほとんどがピロティになっている。除雪をしなくてよい駐車場空間であったり、暑い日差しから守られた風の抜ける軒下空間は、子供の遊び場やBBQスペースなど第2のリビングと呼べるような豊かな半外部空間が街に開かれている。

2階ボリュームは、真ん中にぽっかりと余白となる中庭吹き抜けを持つロの字型の形状になっている。外周の開口部を極力絞り高さを低く抑え、真ん中の中庭に高さをだすことで、空への意識を高めるワンルームの空間にしている。

建築家によるテキストより
【ap job更新】 大石雅之建築設計事務所が、設計スタッフ (既卒・経験者) を募集中
【ap job更新】 大石雅之建築設計事務所が、設計スタッフ (既卒・経験者) を募集中
【ap job更新】 大石雅之建築設計事務所が、設計スタッフ (既卒・経験者) を募集中祐天寺の集合住宅 photo©shun fukuda

大石雅之建築設計事務所の、設計スタッフ(既卒・経験者)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

大石雅之建築設計事務所では設計スタッフを募集します。

私たちの事務所は小規模設計事務所ですが、これまで様々な用途の建築を設計してきました。
家具設計、店舗内装、戸建住宅、集合住宅、歯科医院、動物病院、寺の庫裏、神社の拝殿、社務所、休憩所、大正時代の建物を公共施設へ改修、など多岐にわたります。

美術館での展示会場構成、美術作家の大型立体作品の設計製作などのプロジェクトでも実績があり、美術に関心のある人が多い事務所です。

どのプロジェクトもそのときどきで担当スタッフと繰り返し打合せをしながら、先入観のある機能主義とは違った考えでものをつくることを目指してきました。プロジェクトの状況によっては自主施工や現場監督的な業務を行うこともありますが、設計が閉鎖的にならないための一つの手段として、商業的な生産方法に代わるものと捉えています。

シンプルな考え方、経済性、持続可能性を尊重し、また、一時的なもの、壊れやすいもの、平凡なものに内在する感覚を大切にしながら、構成よりも構築を重視して設計に取り組んでいます。

現在、住宅や店舗などのプロジェクトがすすんでおり、また、プロポーザルコンペ等への参加も継続的に行っていきます。

私たちの仕事に興味がある方、ご応募をお待ちしてます。

【ap job更新】 二子玉川を拠点に、住宅から医療福祉施設まで幅広く手掛ける「向山建築設計事務所」が、設計スタッフ(経験者・既卒・2024年新卒)を募集中
【ap job更新】 二子玉川を拠点に、住宅から医療福祉施設まで幅広く手掛ける「向山建築設計事務所」が、設計スタッフ(経験者・既卒・2024年新卒)を募集中
【ap job更新】 二子玉川を拠点に、住宅から医療福祉施設まで幅広く手掛ける「向山建築設計事務所」が、設計スタッフ(経験者・既卒・2024年新卒)を募集中パティオ梅が丘E/W(集合住宅)

二子玉川を拠点に、住宅から医療福祉施設まで幅広く手掛ける「向山建築設計事務所」の、設計スタッフ(経験者・既卒・2024年新卒)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

向山建築設計事務所では個人住宅、集合住宅、医療福祉施設、教育施設、オフィスなど幅広く設計しています。
ひとつひとつ、より良く品質向上をめざすため一緒に設計してくれるスタッフを2名ほど募集します。

代表の向山博は鹿島建設建築設計部(KAJIMA DESIGN)、シーラカンスK&Hにて保養所、小学校、集合住宅、個人住宅の設計に携わり、2003年独立。最近は、2016年2019年にグッドデザイン賞を受賞している集合住宅、医療福祉施設の設計にも力を注いでいます。

現在、これから初プレゼンの段階のものから、基本設計、実施設計、現場と各段階のプロジェクトが並行して進んでいます。弊社は少人数なので、入社すると担当物件を持ち、初期から現場まで一貫して設計に携わってもらいます。規模によっては複数担当することで、様々な過程の物件にかかわることで短期間に多くのことを学び、成長することが可能です。将来独立を志す方にとっては、必要な経験だと思います。
心から建築が好きという情熱にあふれている方のご連絡をお待ちしております。

伊原慶+三角俊喜 / TA+Aによる、東京の「セントラルクリニック世田谷」。崖線の丘上に建つ高性能機器を備える診療施設。精神と身体の負荷軽減を求め、周囲の緑を引き入れた検査後を安静状態で過ごせる空間を備えた建築を考案。外装に“テラコッタルーバー”を配して賑やかさと陰影も付与
伊原慶+三角俊喜 / TA+Aによる、東京の「セントラルクリニック世田谷」。崖線の丘上に建つ高性能機器を備える診療施設。精神と身体の負荷軽減を求め、周囲の緑を引き入れた検査後を安静状態で過ごせる空間を備えた建築を考案。外装に“テラコッタルーバー”を配して賑やかさと陰影も付与鳥瞰 photo©小川重雄
伊原慶+三角俊喜 / TA+Aによる、東京の「セントラルクリニック世田谷」。崖線の丘上に建つ高性能機器を備える診療施設。精神と身体の負荷軽減を求め、周囲の緑を引き入れた検査後を安静状態で過ごせる空間を備えた建築を考案。外装に“テラコッタルーバー”を配して賑やかさと陰影も付与外観、道路側より見る。 photo©小川重雄
伊原慶+三角俊喜 / TA+Aによる、東京の「セントラルクリニック世田谷」。崖線の丘上に建つ高性能機器を備える診療施設。精神と身体の負荷軽減を求め、周囲の緑を引き入れた検査後を安静状態で過ごせる空間を備えた建築を考案。外装に“テラコッタルーバー”を配して賑やかさと陰影も付与3階、ラウンジ photo©小川重雄
伊原慶+三角俊喜 / TA+Aによる、東京の「セントラルクリニック世田谷」。崖線の丘上に建つ高性能機器を備える診療施設。精神と身体の負荷軽減を求め、周囲の緑を引き入れた検査後を安静状態で過ごせる空間を備えた建築を考案。外装に“テラコッタルーバー”を配して賑やかさと陰影も付与3階、屋上テラス photo©小川重雄

伊原慶+三角俊喜 / TA+Aが設計した、東京の「セントラルクリニック世田谷」です。
崖線の丘上に建つ高性能機器を備える診療施設の計画です。建築家は、精神と身体の負荷軽減を求め、周囲の緑を引き入れた検査後を安静状態で過ごせる空間を備えた建築を考案しました。また、外装に“テラコッタルーバー”を配して賑やかさと陰影も付与しています。

緑や起伏に富み多摩川が10万年かけて削ってできた台地「国分寺崖線」の丘上に建つ、高性能MRIとPET-CT等の検査機器を持ち定期検診と地域の病院との医療連携を行う診療施設である。玉川八景として景勝地や保養の場で知られ長年文化と緑量を積み重ねた場で、周囲の緑を建築のフレームの中に柔らかく引き入れ、景観を繋ぎ止めることを目指した。

建築家によるテキストより

世界中でも特に健診大国である我が国では、近年の健康増進や健康維持についての意識の高まりに対して、医療機器の高性能化により未病の状態でもより精細に心身の健康管理ができるが、一般的には病院での検査は精神的にも身体的にも負荷を伴うものである。この施設では特に、検査後に安静状態でリカバリーする時間を快適に過ごす空間と自然を眺めながら寛ぐ最上階のラウンジ空間により、気持ちよく受診できる施設構成を持つ事で他施設との差別化を図った。

建築家によるテキストより

また世田谷区内に先端画像診断機器を用いた高精度検診が行える施設が多くないため、周辺病院との地域医療連携を図り貢献する診療施設としても役割を担う。都内で二番目に緑化率が高い世田谷区の中でも特に緑が多い周辺景観を持つ上野毛で、国分寺崖線の多様な植生や生態系を受け入れる柔らかさと、医療機器の設置の為に求められる放射性同位体などの区画が持つ堅牢さを合わせ持ちながら、周辺景観に寄与する事を考えた。

建築家によるテキストより
中田敦大による、大阪・豊中市の住戸改修「光縁の家」。躯体に特徴がある区画をリノベした設計者の自邸。天井形状等を活かす設計を意図し、上部を照射する“光縁”と名付けた間接照明を備えた空間を考案。私的領域はリビングと繋げつつ“緩やかに距離を取る”ように配置
中田敦大による、大阪・豊中市の住戸改修「光縁の家」。躯体に特徴がある区画をリノベした設計者の自邸。天井形状等を活かす設計を意図し、上部を照射する“光縁”と名付けた間接照明を備えた空間を考案。私的領域はリビングと繋げつつ“緩やかに距離を取る”ように配置キッチンからリビングダイニングを見る。 photo©アイフォト 伊藤彰
中田敦大による、大阪・豊中市の住戸改修「光縁の家」。躯体に特徴がある区画をリノベした設計者の自邸。天井形状等を活かす設計を意図し、上部を照射する“光縁”と名付けた間接照明を備えた空間を考案。私的領域はリビングと繋げつつ“緩やかに距離を取る”ように配置リビングからベッドルーム側を見る。 photo©アイフォト 伊藤彰
中田敦大による、大阪・豊中市の住戸改修「光縁の家」。躯体に特徴がある区画をリノベした設計者の自邸。天井形状等を活かす設計を意図し、上部を照射する“光縁”と名付けた間接照明を備えた空間を考案。私的領域はリビングと繋げつつ“緩やかに距離を取る”ように配置ベッドルームからリビングを見る。 photo©アイフォト 伊藤彰

中田敦大が設計した、大阪・豊中市の住戸改修「光縁の家」です。
躯体に特徴がある区画をリノベした設計者の自邸です。建築家は、天井形状等を活かす設計を意図し、上部を照射する“光縁”と名付けた間接照明を備えた空間を考案しました。また、私的領域はリビングと繋げつつ“緩やかに距離を取る”ように配置されました。

斜めの屋根形状や鉄筋コンクリートの垂れ壁など、既存躯体が特徴的な中古マンションにおけるリノベーション計画。
自邸として家族のライフスタイルに合わせて設計を行った。

建築家によるテキストより

屋根形状に沿って天井を貼り鉄筋コンクリートの垂れ壁は現しとするなど、既存躯体の特徴を最大限活かした上で、色調を合わせた素材の使用によって空間には統一感を持たせている。

建築家によるテキストより

家の外周部には「光縁(ヒカリブチ)」と名付けた間接照明を廻して斜めの天井を介して家全体を照らし、各空間を繋げている。

建築家によるテキストより
成田和弘+成田麻依 / kufuによる、広島市の、住宅兼ギャラリー「tobe」。祖母宅に隣にアートを集める施主家族の為に計画。祖母との繋がりとギャラリー運営を考慮し、住宅側の全面が開口部で多様な性質の部屋が並列する建築を考案。既存建物の景色の維持を意図して“視線の抜け”も作る
成田和弘+成田麻依 / kufuによる、広島市の、住宅兼ギャラリー「tobe」。祖母宅に隣にアートを集める施主家族の為に計画。祖母との繋がりとギャラリー運営を考慮し、住宅側の全面が開口部で多様な性質の部屋が並列する建築を考案。既存建物の景色の維持を意図して“視線の抜け”も作る外観、夕景 photo©藤井浩司 TOREAL
成田和弘+成田麻依 / kufuによる、広島市の、住宅兼ギャラリー「tobe」。祖母宅に隣にアートを集める施主家族の為に計画。祖母との繋がりとギャラリー運営を考慮し、住宅側の全面が開口部で多様な性質の部屋が並列する建築を考案。既存建物の景色の維持を意図して“視線の抜け”も作る「小さいへや」 photo©藤井浩司 TOREAL
成田和弘+成田麻依 / kufuによる、広島市の、住宅兼ギャラリー「tobe」。祖母宅に隣にアートを集める施主家族の為に計画。祖母との繋がりとギャラリー運営を考慮し、住宅側の全面が開口部で多様な性質の部屋が並列する建築を考案。既存建物の景色の維持を意図して“視線の抜け”も作るデッキと祖母の住宅。 photo©藤井浩司 TOREAL
成田和弘+成田麻依 / kufuによる、広島市の、住宅兼ギャラリー「tobe」。祖母宅に隣にアートを集める施主家族の為に計画。祖母との繋がりとギャラリー運営を考慮し、住宅側の全面が開口部で多様な性質の部屋が並列する建築を考案。既存建物の景色の維持を意図して“視線の抜け”も作る「料理のへや」 photo©藤井浩司 TOREAL

成田和弘+成田麻依 / kufuが設計した、広島市の、住宅兼ギャラリー「tobe」です。
祖母宅に隣にアートを集める施主家族の為に計画されました。建築家は、祖母との繋がりとギャラリー運営を考慮し、住宅側の全面が開口部で多様な性質の部屋が並列する建築を考案しました。また、既存建物の景色の維持を意図して“視線の抜け”も作られました。

お施主さんからの要望は所有するartと暮らす。artで生きる。
加えて高齢になったお施主さんのお祖母ちゃんと同居し、ひ孫とも生活を共にすることで元気にしたいという要望もあった。

敷地は広島市内の住宅街。お祖母ちゃんが所有する土地には3階建てのアパートが建ち、1・2階はお祖母ちゃんが生活、3階は賃貸として別の家族が生活している。周囲には小道が走り、狭いわりには地域の人の生活動線として常に人通りがある。お祖母ちゃんとの距離感、これからのギャラリー運営、生活リズム、色々と打合せをしていくうちに、お祖母ちゃんとの同居は新しく別棟増築という解答に至った。

建築家によるテキストより

まず本建物はこの小道に沿ってお祖母ちゃんのアパートを抱え込むように配置した。
アパートに対しては全面掃き出し窓とすることで、建物からはお祖母ちゃんを見守ることができて、お祖母ちゃんはどこからでも入ってくることができる。また小道に対して圧迫感を与えないように、建物の外殻を各部屋ごとのスケールまで落とし込み、更に部屋の間に隙間を設けることで、視線の抜けと、街に対してartを開くような余白を設けた。

建築家によるテキストより

既存棟のお祖母ちゃんの寝室窓からの景色はできるだけ変えないために、増築側にも今まで通りの視線の抜けを作った。毎年春に咲くピンクと白の2本のハナミズキも残した。お祖母ちゃんとの生活の距離感を、くねくねデッキの形状で建築的に落とし込んだ。既存と増築の建物間にある内外の境界を曖昧にすることで、別棟だが同居しているような、光も景色も透す薄いカーテン一枚の距離感を実現させた。

家の中でギャラリーを営む際に、プライベートな生活用途であるトイレやキッチン、浴室にもartを添えてギャラリーとして開放していく想定なため、全ての部屋がartの背景として機能する必要があった。そのため、どうしても用途が変えられないこれらの部屋以外の、他の各部屋には特に用途を決めず、光であふれる部屋、左右対称の部屋、天井がとんでもなく高い部屋など特徴のみを与え、できるだけ並列な展示空間とし、それらを外廊下で繋げた。

建築家によるテキストより
最も注目を集めたトピックス[期間:2023/11/13-11/19]
最も注目を集めたトピックス[期間:2023/11/13-11/19]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2023/11/13-11/19)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. 小堀哲夫建築設計事務所が、吉祥寺の「武蔵野公会堂改修」設計プロポで最優秀提案者に選定。次点者は、青木淳と品川雅俊のAS
  2. 後藤周平建築設計事務所による、静岡・浜松市の「山手の家」。作品を集める施主家族の為に計画。生活と収集物が混ざり合う場を目指し、内外に8つのレベル差があり多方向に“視線が抜ける”構成を考案。展示する写真を窓に見立て実際の開口と並置して内部空間に奥行きも与える
  3. 橋本尚樹 / NHAによる、千葉・成田市の「玉造幼稚園」。深い森に覆われた古来の遺構も残る土地に計画。森を“主役”とする在り方を求め、“森に走りだせる形式”と“守られた安心感”を兼ね備える建築を志向。回廊で囲んだ建物の中央に明るい屋外広場のある構成を考案
  4. 遠藤克彦建築研究所による「高知県本山町新庁舎」。庁舎建築の現状にも向合う計画。共用と執務のエリアの“拡張”的な両立を求め、柱と梁の“ストラクチャー”の中で全ての“エレメント”を等価に集合させる設計を実践。機能に支配されない一室空間の様な建築を造る
  5. 栗本祐輔 / クリテクツと佐藤秀デザインによる、東京の集合住宅「番町會所」。都心の賃貸と施主住戸等を内包する建築。密集地での“付加価値提供”を目指し、4つの専有部ユニットを中央の共用部で繋ぐ構成で全方位に開口を持つ住戸群を実現。余裕を持たせた共用廊下は交流空間としても機能
  6. 藤本壮介+東畑建築事務所+梓設計による、2025年大阪・関西万博の「大屋根(リング)」。外側高さ約20mで内径約615mの世界最大級の木造建築。会場の主動線として交通空間であると共に、雨風等を遮る快適な滞留空間としても機能。屋上には緑の丘が広がり瀬戸内海の景観を眺望
  7. 藤原・室 建築設計事務所による、兵庫・神戸市の「岡本の家」。閑静な住宅街の三角形の敷地。“容積の確保”と“街並みとの調和”の両立を求め、二層分の外壁を分割して間に開口部を設けた“圧迫感を緩和”する建築を考案。視線と風が抜ける空間は“街との繋がり”も感じさせる
  8. SAKUMAESHIMA / 朔永吉+前嶋章太郎による、東京・港区の「博報堂本社エントランス」。受付機能に加えて打合せやイベントも行う場所。多様な状況の許容と会社の顔としての格式を求め、壁面や設備等の色味を統一して“圧迫感とノイズ”を消去する空間を志向。家具を組合せた場づくりで“可変性”も実現
  9. 栫井寛子+徳永孝平 / atelier SALADによる、鹿児島市の「薬師温泉」。公園の隣の歴史ある銭湯の改修。愛され続ける為の“現代的な価値”の拡大を目指し、周辺と繋がる“大きく開かれた”空間を志向。土の塊から窓部分をくり抜いた様なファサードで内外を接続すると共に交流も促す
  10. 花本大作建築設計事務所による、広島・呉市の「広本町の家」。様々な用途や規模の建物が並ぶ商店街の敷地。周囲の“雑多さ”と連続する在り方を求め、必要諸室を分解して“再構築”した“中心性の弱い構成”の建築を考案。街を散策する様な小さな場面が連続する空間を生み出す
  11. 伊東豊雄が、NHKのテレビ番組「最後の講義」に出演。予告動画も公開
  12. 塩入勇生+矢﨑亮大 / ARCHIDIVISIONによる、さいたま市の住戸改修「PATCH」。30代の施主家族の為に計画。間仕切の撤去で回遊動線を作り、部分的解体で木と鉄のフレームを挿入して“空間の彩り”と“生活の骨格”を創出。“最小限の補修”の前提の下に“新旧に捉われない自由さ”を生み出す
  13. 浅利幸男 / ラブアーキテクチャーによる、東京・府中市の「花藏院霊園『ようようの庭』」。社会変化への対応も主題とした墓地。現代的な墓の在り方を考慮し、“個別墓”と“合祀墓”を連携した“生命の循環”にも対応する形式を考案。其々の墓を“苔庭”と“築山”に分散配置し回遊式の日本庭園として造る
  14. 徳山史典+弓削純平 / UNQUOTEによる、東京・千代田区の「オフィスF」。長方形平面の区画での計画。施工費を削減しつつ豊かな空間性の構築を求め、諸機能を詰込んだ“箱状のヴォリューム”を複数の動線空間を作るように配置。工事範囲を限定すると共に非工事範囲にも新たな役割を与える
  15. 石上純也建築設計事務所による、山口の「House & Restaurant」。旧知の友人の為の住宅兼店舗。“時間と共にその重みを増していく”空間の要望に、地面に穴を掘りコンクリートを流して土の中の躯体を掘り起こしガラスを嵌める建築を考案。不確定要素を許容し使い方の発見更新を繰り返して作る
  16. スノヘッタによる、中国・香港の複合ビル「AIRSIDE」。空港の跡地の事務所や商業施設を内包する建築。繊維産業で栄えた地域の歴史を尊重し、外観から内装に至るまで“テキスタイル”の特徴を連想させる意匠を考案。アイコンとして存在すると共に活気ある公共領域も提供
  17. 大室佑介アトリエ / atelier Ichikuによる、東京・練馬区の「Haus-012」。所有地の一部を売却して新しい家に建替える計画。生活変化や将来の可能性に応える建築を求め、諸空間を一列に並べた公から私へと“層”状に移り変わる構成を考案。ファサードを“黄金比”で整えて外部の美観も保持
  18. 倉俣史朗の、世田谷美術館での展覧会「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」。没後30年を超えた今も国内外で評価され続けるデザイナーの回顧展。作家自身を主軸として“初期から晩年までの作品”を紹介する構成。創作の源泉とも言える“イメージスケッチや夢日記”も公開
  19. 新居千秋都市建築設計による、千葉の「流山市立南流山地域図書館・児童センター」。約3000㎡の滞在型複合施設。様々な規制や厳しい与件の下でも、“身体性”を大切にした“五感”に訴えかける建築を志向。寸法と素材にこだわり設計と選定した家具を用いて限られた空間の中に様々な居場所を作る
  20. 小林一行+樫村芙実 / テレインアーキテクツによる、神奈川・川崎市の「かしまだ保育園」。幹線道路と緑道に面する敷地。園の活動や子供の身体寸法から発想し、“8畳間”の空間を複数組み合わせ“風車状”にした保育室を持つ建築を考案。生活道路に開いた配置は“地域の人々の中で共に育つ”施設を意図

青木淳と西澤徹夫らが登場する動画「京都市美術館リニューアル事業記録映像」。設計プロセス等の解説に加えて施工現場と竣工後の様子等も紹介

青木淳西澤徹夫らが登場する動画「京都市美術館リニューアル事業記録映像」です。設計プロセス等の解説に加えて施工現場と竣工後の様子等も紹介されています。

京都市美術館では、2020年に国内の文化施設では他に例の無い大規模改修が行われました。本映像は3年間のリニューアル工事期間中の様子と共に、新しい建物の構想と設計過程について、設計者の青木淳、西澤徹夫が語り、さらに89年に及ぶ当館の歴史の紹介、そこから影響を受けた現代の作家たちへのインタビューにより構成されています。

「京都市美術館リニューアル事業記録映像」
収録期間:2017-2020年
出演:中谷至宏、潮江宏三、青木淳、西澤徹夫、森口邦彦、植松奎二、森村泰昌、児玉靖枝、やなぎみわ
インタビュアー:中谷至宏、岸本康
映像制作:Ufer! Art Documentary
監督:岸本康

倉俣史朗の、世田谷美術館での展覧会「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」。没後30年を超えた今も国内外で評価され続けるデザイナーの回顧展。作家自身を主軸として“初期から晩年までの作品”を紹介する構成。創作の源泉とも言える“イメージスケッチや夢日記”も公開
倉俣史朗の、世田谷美術館での展覧会「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」。没後30年を超えた今も国内外で評価され続けるデザイナーの回顧展。作家自身を主軸として“初期から晩年までの作品”を紹介する構成。創作の源泉とも言える“イメージスケッチや夢日記”も公開 photo©architecturephoto
倉俣史朗の、世田谷美術館での展覧会「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」。没後30年を超えた今も国内外で評価され続けるデザイナーの回顧展。作家自身を主軸として“初期から晩年までの作品”を紹介する構成。創作の源泉とも言える“イメージスケッチや夢日記”も公開 photo©architecturephoto
倉俣史朗の、世田谷美術館での展覧会「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」。没後30年を超えた今も国内外で評価され続けるデザイナーの回顧展。作家自身を主軸として“初期から晩年までの作品”を紹介する構成。創作の源泉とも言える“イメージスケッチや夢日記”も公開 photo©architecturephoto
倉俣史朗の、世田谷美術館での展覧会「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」。没後30年を超えた今も国内外で評価され続けるデザイナーの回顧展。作家自身を主軸として“初期から晩年までの作品”を紹介する構成。創作の源泉とも言える“イメージスケッチや夢日記”も公開 photo©architecturephoto

倉俣史朗の、世田谷美術館での展覧会「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」です。
没後30年を超えた今も国内外で評価され続けるデザイナーの回顧展です。展示は、作家自身を主軸として“初期から晩年までの作品”を紹介する構成となっています。また、創作の源泉とも言える“イメージスケッチや夢日記”も公開されています。会期は2023年11月18日~2024年1月28日。展覧会の公式ページはこちら

造花の薔薇を透明アクリル樹脂に封じ込めた「椅子」、板ガラスを組み合わせただけの「椅子」、大きさを少しずつ変えて格子状に49個並ぶ「引出し」、7本の針を持つ「時計」。一目見た時に驚きがあり、そして笑みがこぼれ、しばらくして、その機能がきちんと保持されていることに気づきます。

倉俣史朗(1934-1991)は、このような一風変わった家具と数多くの特色あるインテリアデザインを手掛けました。1965年に独立し自身の事務所を構え、同時代の美術家たちとも交流をしつつ、機能性や見た目の形状に主眼を置いたデザインとは異なった考え方をした作品を発表し続けます。1980年代にはイタリアのデザイン運動「メンフィス」に参加し、その名は一躍世界中に浸透していきました。倉俣の作品は各国の美術館に収蔵されており、今なお国内外で高い評価を受けています。

没後30年を経て開催する本展覧会では、家具やインテリアの仕事に加えて、創作の源泉を垣間見せるかのようなイメージスケッチや夢日記も紹介し、倉俣語録とも言われた作家自身の言葉を手がかりに、独立する以前からあまりにも早すぎる死までを振り返ります。倉俣史朗の作品とその人物像に新たな視線を向けることは、デザインの可能性を再認識する機会ともなるでしょう。

開催概要より
第18回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展の日本館展示「愛される建築を目指して」の報告会の動画。大西麻貴・百田有希・原田祐馬・多田智美・森山茜・水野太史・土井亘が参加して2023年8月に行われたもの

第18回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展の日本館展示「愛される建築を目指して―建築を生き物として捉える」の報告会の動画です。大西麻貴・百田有希原田祐馬多田智美森山茜水野太史土井亘が参加して2023年8月26日に行われたものです。アーキテクチャーフォトでは展示の様子を特集記事として紹介しています。

国際交流基金(JF)は、第18回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館展示(開催期間:2023年5月20日~11月26日)の報告会を実施いたしました。展覧会が実現するまでの歩みや、日本館を通して実践された「愛される建築」の内容について、キュレーションチームと出展作家が語ります。

***

本年の日本館では、建築家の大西麻貴氏がキュレーター、建築設計事務所o+hの共同代表である百田有希氏が副キュレーターを務めており、建築家・吉阪隆正が手がけた日本館にスポットを当てた展覧会「愛される建築を目指して―建築を生き物として捉える」を開催しています。テキスタイルデザイナー、窯業家、デザイナー、編集者、金工、アニメーターといった専門性の異なるチームメンバーが、吉阪が設計した日本館建築そのものを展示物と捉え、大西、百田の両氏が長年にわたり取り組んできたテーマ「愛される建築」を実践しました。

登壇者:
大西 麻貴(建築家、o+h共同代表)
百田 有希(建築家、o+h共同代表)
原田 祐馬(デザイナー、UMA/design farm代表)
多田 智美(編集者、MUESUM代表)

リモート:
森山 茜(テキスタイルデザイナー・アーティスト)
水野 太史(建築家、窯業家、水野製陶園ラボ代表)
土井 亘(dot architects)

栗本祐輔 / クリテクツと佐藤秀デザインによる、東京の集合住宅「番町會所」。都心の賃貸と施主住戸等を内包する建築。密集地での“付加価値提供”を目指し、4つの専有部ユニットを中央の共用部で繋ぐ構成で全方位に開口を持つ住戸群を実現。余裕を持たせた共用廊下は交流空間としても機能
栗本祐輔 / クリテクツと佐藤秀デザインによる、東京の集合住宅「番町會所」。都心の賃貸と施主住戸等を内包する建築。密集地での“付加価値提供”を目指し、4つの専有部ユニットを中央の共用部で繋ぐ構成で全方位に開口を持つ住戸群を実現。余裕を持たせた共用廊下は交流空間としても機能外観 photo©畑拓
栗本祐輔 / クリテクツと佐藤秀デザインによる、東京の集合住宅「番町會所」。都心の賃貸と施主住戸等を内包する建築。密集地での“付加価値提供”を目指し、4つの専有部ユニットを中央の共用部で繋ぐ構成で全方位に開口を持つ住戸群を実現。余裕を持たせた共用廊下は交流空間としても機能3階。ホール1 photo©畑拓
栗本祐輔 / クリテクツと佐藤秀デザインによる、東京の集合住宅「番町會所」。都心の賃貸と施主住戸等を内包する建築。密集地での“付加価値提供”を目指し、4つの専有部ユニットを中央の共用部で繋ぐ構成で全方位に開口を持つ住戸群を実現。余裕を持たせた共用廊下は交流空間としても機能3階、303号室、テラス photo©畑拓

栗本祐輔 / クリテクツと佐藤秀デザインによる、東京の集合住宅「番町會所」です。栗本祐輔 / クリテクツが、基本構想とデザイン監修を、佐藤秀デザインが設計を手掛けています。
都心の賃貸と施主住戸等を内包する建築です。建築家は、密集地での“付加価値提供”を目指し、4つの専有部ユニットを中央の共用部で繋ぐ構成で全方位に開口を持つ住戸群を実現しました。また、余裕を持たせた共用廊下は交流空間としても機能させる事を意図しています。

東京都心、北側に公園への眺望が抜ける傾斜地に立地する、賃貸住戸・オーナー住戸・店舗が複合した集合住宅である。傾斜地に合わせた建築の対応と、ビル密集地における賃貸住宅の付加価値提供が求められた。

建築家によるテキストより

そこで考え出されたのが、東西南北へ、かざぐるま状に配置された4つの専有部ユニットと、中央の共用部、敷地四隅の前庭・中庭による、スキップフロアの構成である。各専有部ユニットは同一の外形を持つが、方位や周辺環境に合わせ向きを変え、高さを変え、内装プランも各々異なったものとなっており、住まい方に選択肢を与えている。かざぐるま状の配置によって、各住戸は4面に開口部を持ち、通風や採光、眺望が確保されている。

建築家によるテキストより

中央の共用部は、単純に縦動線と廊下を配置するだけではなく、ゆとりのある空間を回遊可能な複数の階段でスキップ状に連結し、共用のコミュニティスペースとして計画している。センターコア型でありながらも、専有部ユニットの隙間から4方向に向かい外気に開放されている。

建築家によるテキストより
花本大作建築設計事務所による、広島・呉市の「広本町の家」。様々な用途や規模の建物が並ぶ商店街の敷地。周囲の“雑多さ”と連続する在り方を求め、必要諸室を分解して“再構築”した“中心性の弱い構成”の建築を考案。街を散策する様な小さな場面が連続する空間を生み出す
花本大作建築設計事務所による、広島・呉市の「広本町の家」。様々な用途や規模の建物が並ぶ商店街の敷地。周囲の“雑多さ”と連続する在り方を求め、必要諸室を分解して“再構築”した“中心性の弱い構成”の建築を考案。街を散策する様な小さな場面が連続する空間を生み出す外観、道路から見る。 photo©益永研司写真事務所
花本大作建築設計事務所による、広島・呉市の「広本町の家」。様々な用途や規模の建物が並ぶ商店街の敷地。周囲の“雑多さ”と連続する在り方を求め、必要諸室を分解して“再構築”した“中心性の弱い構成”の建築を考案。街を散策する様な小さな場面が連続する空間を生み出す2階、食堂から居間側を見る。 photo©益永研司写真事務所
花本大作建築設計事務所による、広島・呉市の「広本町の家」。様々な用途や規模の建物が並ぶ商店街の敷地。周囲の“雑多さ”と連続する在り方を求め、必要諸室を分解して“再構築”した“中心性の弱い構成”の建築を考案。街を散策する様な小さな場面が連続する空間を生み出す2階、主寝室 photo©益永研司写真事務所

花本大作建築設計事務所が設計した、広島・呉市の「広本町の家」です。
様々な用途や規模の建物が並ぶ商店街の敷地に計画されました。建築家は、周囲の“雑多さ”と連続する在り方を求め、必要諸室を分解して“再構築”した“中心性の弱い構成”の建築を考案しました。それによって、街を散策する様な小さな場面が連続する空間を生み出されました。

計画地は小さな街の商店街にある。

この住宅においては強い全体性を与えないことで周辺環境と連続する場を生み出す事を目指した。
敷地の周りには小売店、飲食店、医院、遊技場、集合住宅など様々な用途や規模の建物が建ち並んでいる。各建物はそれぞれが求めに応じ異なる論理により計画され不揃いで統一感はないが商店街としては連々たる建築の集合体となり街の新陳代謝を体現している。

建築家によるテキストより

当初はそうした雑多さから切り離し敷地内のみで快適な空間を完結させる求心的な手法も考えられたが、そのリジッドさが集合体との乖離や逆に生活を窮屈にしてしまう可能性も否めなかった。そのため周囲に広がる複雑多様な関係性を引き込んだ設計を行うことで街との連続的な関係を築くと同時に伸びやかで生き生きとした住環境を得られるのではないかと考えた。

建築家によるテキストより

具体的には必要諸室と外部環境とのつながりを確保する外室を一度バラバラのボリュームに分解し、建築主との話し合いによりそれらを再構築していくことで中心性の弱い構成とした。設計途中の追加要求機能も街に見られるような偶発的な空間変化として受け入れ、そのまま計画に継ぎ足し過度にコントロールすることを控えた。

その結果、いろいろな気積や特徴を持つ場が複雑に絡み合い街の中を歩いているように小さな場面が連続していく変化に富んだ内部空間となった。また、ボリューム同志のずれや外室越しに街の風景や空などを身近に感じることで周辺環境とのつながりを感じることが出来る。

建築家によるテキストより
浅利幸男 / ラブアーキテクチャーによる、東京・府中市の「花藏院霊園『ようようの庭』」。社会変化への対応も主題とした墓地。現代的な墓の在り方を考慮し、“個別墓”と“合祀墓”を連携した“生命の循環”にも対応する形式を考案。其々の墓を“苔庭”と“築山”に分散配置し回遊式の日本庭園として造る
浅利幸男 / ラブアーキテクチャーによる、東京・府中市の「花藏院霊園『ようようの庭』」。社会変化への対応も主題とした墓地。現代的な墓の在り方を考慮し、“個別墓”と“合祀墓”を連携した“生命の循環”にも対応する形式を考案。其々の墓を“苔庭”と“築山”に分散配置し回遊式の日本庭園として造る俯瞰 photo©西川公朗
浅利幸男 / ラブアーキテクチャーによる、東京・府中市の「花藏院霊園『ようようの庭』」。社会変化への対応も主題とした墓地。現代的な墓の在り方を考慮し、“個別墓”と“合祀墓”を連携した“生命の循環”にも対応する形式を考案。其々の墓を“苔庭”と“築山”に分散配置し回遊式の日本庭園として造る参道から苔庭 個別墓を見る。 photo©西川公朗
浅利幸男 / ラブアーキテクチャーによる、東京・府中市の「花藏院霊園『ようようの庭』」。社会変化への対応も主題とした墓地。現代的な墓の在り方を考慮し、“個別墓”と“合祀墓”を連携した“生命の循環”にも対応する形式を考案。其々の墓を“苔庭”と“築山”に分散配置し回遊式の日本庭園として造る苔庭 個別墓の詳細 photo©西川公朗

浅利幸男 / ラブアーキテクチャーが設計した、東京・府中市の「花藏院霊園『ようようの庭』」です。
社会変化への対応も主題とした墓地です。建築家は、現代的な墓の在り方を考慮し、“個別墓”と“合祀墓”を連携した“生命の循環”にも対応する形式を考案しました。そして、其々の墓を“苔庭”と“築山”に分散配置し回遊式の日本庭園として造りました。

少子高齢化やライフスタイルの変化により、2021年には平均世帯人員が2.37人まで減少、単独世帯の割合は29.5%まで増加するなど家族形態は多様化しており、家族意識の中心は祖先崇拝=死者から、夫婦、親子関係の結合=生者へと向かうようになっている。伝統的習慣と考えられている「○○家先祖代々の墓」と刻まれた「カロート式家墓」は明治時代以降の法整備と国民道徳教育の結果、普及した形式であり、一般化してから100年も経っていない。我々は都度、墓の形式を選択してきたのである。

建築家によるテキストより

「ようようの庭」は遺骨4体を埋葬出来る個別墓と合祀墓の機能的連携により、縮小する家族規模や単独世帯の増加に対応させるだけでなく、33回忌の弔い上げを迎えた個別墓の遺骨を合祀墓に移動する事で、親子の世代交代という将来的な生命の循環にも対応させている。

建築家によるテキストより

5つの築山と密植した樹木を世俗との結界にして、その内部に11の苔庭を配置する。4つの合祀墓は築山に、116の個別墓は築山と苔庭に分散配置される。個別墓と合祀墓を構成する墓石や墓誌、献花焼香台は人為的加工を極力排除した自然石にする事で、各墓のデザインは全て異なる事になり、景石として置くか、積むかだけにする事で庭の風景と一体化させる。各墓石は庭を媒介にして全てが関係する事になる。

建築家によるテキストより
後藤周平建築設計事務所による、静岡・浜松市の「山手の家」。作品を集める施主家族の為に計画。生活と収集物が混ざり合う場を目指し、内外に8つのレベル差があり多方向に“視線が抜ける”構成を考案。展示する写真を窓に見立て実際の開口と並置して内部空間に奥行きも与える
後藤周平建築設計事務所による、静岡・浜松市の「山手の家」。作品を集める施主家族の為に計画。生活と収集物が混ざり合う場を目指し、内外に8つのレベル差があり多方向に“視線が抜ける”構成を考案。展示する写真を窓に見立て実際の開口と並置して内部空間に奥行きも与える外観、南西から敷地を見る。 photo©長谷川健太
後藤周平建築設計事務所による、静岡・浜松市の「山手の家」。作品を集める施主家族の為に計画。生活と収集物が混ざり合う場を目指し、内外に8つのレベル差があり多方向に“視線が抜ける”構成を考案。展示する写真を窓に見立て実際の開口と並置して内部空間に奥行きも与える南側外観 photo©長谷川健太
後藤周平建築設計事務所による、静岡・浜松市の「山手の家」。作品を集める施主家族の為に計画。生活と収集物が混ざり合う場を目指し、内外に8つのレベル差があり多方向に“視線が抜ける”構成を考案。展示する写真を窓に見立て実際の開口と並置して内部空間に奥行きも与える1階、ダイニングからリビングを見る。 photo©長谷川健太
後藤周平建築設計事務所による、静岡・浜松市の「山手の家」。作品を集める施主家族の為に計画。生活と収集物が混ざり合う場を目指し、内外に8つのレベル差があり多方向に“視線が抜ける”構成を考案。展示する写真を窓に見立て実際の開口と並置して内部空間に奥行きも与える1階、リビングからダイニングを見る。 photo©長谷川健太

後藤周平建築設計事務所が設計した、静岡・浜松市の「山手の家」です。
作品を集める施主家族の為に計画されました。建築家は、生活と収集物が混ざり合う場を目指し、内外に8つのレベル差があり多方向に“視線が抜ける”構成を考案しました。また、展示する写真を窓に見立て実際の開口と並置して内部空間に奥行きも与える事も意図されました。

豊かな緑が存在する住宅街に建つ夫婦と子供2人のための住宅。
クライアントは写真や家具の収集が趣味で、これまでに集めたコレクションと家族の生活が混ざり合い、それらの気配が家のどこからでも感じられる暮らしを希望していた。

敷地は浜松市の高台の住宅地にあり、周辺の土地も含め、敷地は道路から1-2m程度高くなっていた。それぞれの敷地ごとに地盤面の高さはバラバラで、自然に目線がずれるような関係が出来ており、その段差がとても心地よい近隣の距離感をつくっていると感じた。

建築家によるテキストより

この段のある環境と連続するように、外部で3つの高さの段、内部で5つの高さの段をもつ住宅をつくった。内外の床の高さの差によって、アイレベルだけでなく、斜め上方向や斜め下方向に視線が抜け、コレクションや生活や庭が混ざり合った状態を色々な方向から眺めることができる。

この立体的な構成により、視線だけでなく光や空気も室内を連続していく。上部の開口部からの光が拡散しながら吹き抜けから落ち、家全体を明るくしたり、上昇気流を利用して2階上部で換気ができたりと、室内環境もこの吹き抜けを通して連続する。

建築家によるテキストより

施主の持つ写真作品を、レンズ越しに見た風景の開口部と見立てた。写真作品という開口部と、住宅の壁に開けた窓という開口部、ふたつの開口をセットで壁に配置していった。

窓は内部と、すぐその裏にある風景をつなぐ。一方で写真のつなぐ風景は季節や時間、場所も異なる。それらを並置することで、「今ここにある風景」と「遠く離れたどこかの風景」との間に関係性が生まれ、奥行きのある内部空間をつくることができるのではないかと考えた。

たとえば、南庭を望む開口部の隣にはライアン・マッギンレーの草原の写真を配置した。今ここにある庭と、どこかの草原が同時に存在し、互いに関係付けられる。季節や、時間の経過でほんの少しずつ変わっていく窓からの風景と、変わらない写真作品の風景のずれ。大きな窓と小さな写真というスケールのずれ。ふたつの種類の開口部が住宅内にあることによって生まれる小さなずれが、目の前の風景に別の奥行きや見方を与える。

建築家によるテキストより
【ap job更新】 歴史的建造物の保存活用設計に加え、歴史を生かしたまちづくりも手掛ける「株式会社ユー・エス・シー」が、設計スタッフ(2024年新卒・既卒・経験者)を募集中
【ap job更新】 歴史的建造物の保存活用設計に加え、歴史を生かしたまちづくりも手掛ける「株式会社ユー・エス・シー」が、設計スタッフ(2024年新卒・既卒・経験者)を募集中
【ap job更新】 歴史的建造物の保存活用設計に加え、歴史を生かしたまちづくりも手掛ける「株式会社ユー・エス・シー」が、設計スタッフ(2024年新卒・既卒・経験者)を募集中気仙沼の復興文化財(男山本店店舗)

歴史的建造物の保存活用設計に加え、歴史を生かしたまちづくりも手掛ける「株式会社ユー・エス・シー」の、設計スタッフ(2024年新卒・既卒・経験者)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

私たちは横浜を本拠地として全国で建物づくりとまちづくりの業務を行っています。
小さい建物から大きなプロジェクトに至るまで設計事務所の枠にとどまらず、行政や地域の人たちと協働し、地域と寄り添いながらプロジェクトを進めて行きます。

特に、文化財・歴史的建造物の調査や保存修理を数多く行っており、それらを地域資源として歴史を生かしたまちづくりに繋げてゆくことを常に目指しています。今後は横浜を代表する近代建築、モダニズム建築並びに山手の西洋館、日本民家園古民家等の保存、再生設計を手掛けていきます。
これから技術者として多様なスキルを身に付け、歴史・文化を大切にして、建築を通じた地域づくりの担い手となる人材を募集します。

【企業理念】
●文化財保存活用の使命を担う
私たちは、歴史的遺産を守り、未来の世代に引き継ぐ責任を強く感じています。歴史的建造物や文化財を活用し、新たな価値を創造することで、これらの貴重な遺産を持続可能な方法で保存し、活用します。

●創造的なデザインと歴史の調和
私たちは設計事務所として、創造力と独自性を大切にし、同時に歴史的建造物や文化財への敬意を忘れません。私たちのデザインは、歴史的価値と現代的要求を調和させ、建物や場所の本質を引き立てるものを目指します。

●共創と信頼の構築
私たちは所有者、地域、行政との緊密な協力を大切にし、協働でプロジェクトを進めます。信頼と明確性を基盤に置き、所有者の建築設計のニーズに応えるだけでなく、文化財や歴史的建造物への尊重も徹底します。

【ap job更新】 吉祥寺に新社屋が完成した「佐久間徹設計事務所」が、設計スタッフ(経験者・既卒)とCG作成スタッフ(アルバイト)を募集中
【ap job更新】 吉祥寺に新社屋が完成した「佐久間徹設計事務所」が、設計スタッフ(経験者・既卒)とCG作成スタッフ(アルバイト)を募集中
【ap job更新】 吉祥寺に新社屋が完成した「佐久間徹設計事務所」が、設計スタッフ(経験者・既卒)とCG作成スタッフ(アルバイト)を募集中

佐久間徹設計事務所の、設計スタッフ(経験者・既卒)とCG作成スタッフ(アルバイト)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

吉祥寺に新社屋が完成!事業拡大に伴い「佐久間徹設計事務所株式会社」が、スタッフ(経験者)を募集 

現在、設計スタッフ/広報・事務スタッフ計16名で編成され、共同住宅や福祉施設などの比較的規模の大きな案件を中心とし、個人邸を含め国内30以上のプロジェクトが進行中です。

2023年1月に、吉祥寺に自社設計の社屋が完成。
業務拡大に伴い、即戦力となって活躍してくださる設計スタッフ(経験者)/CG作成スタッフ(アルバイト)を募集します。

*新卒採用に関しましては、12月下旬~募集を予定しています。

Subscribe and Follow

公式アカウントをフォローして、
見逃せない建築情報を受け取ろう。

「建築と社会の関係を視覚化する」メディア、アーキテクチャーフォトの公式アカウントです。
様々な切り口による複眼的視点で建築に関する情報を最速でお届けします。

  • 情報募集建築・デザイン・アートの情報を随時募集しています。
  • メールマガジン メールマガジンで最新の情報を配信しています。