SHARE 建築家の藤田雄介による書籍『建具の手がかり: 境界を操作する39の手法』をプレビュー。建具メーカーも運営する建築家による初の単著。スカイハウスほか26作品と著者自身による13作品を取り上げ、“建具”と“境界”に着目して読み解く
建築家の藤田雄介による書籍『建具の手がかり: 境界を操作する39の手法』をプレビューします。
建具メーカーも運営する建築家による初の単著です。スカイハウスほか26作品と著者自身による13作品を取り上げ、“建具”と“境界”に着目して読み解いています。
建具と境界から読み解く、建築39作品の空間
スカイハウスほか取材事例26作+ジャジャハウスほか著者事例13作
自ら建具メーカーも運営する建築家・藤田雄介による初の単著!建具は空間を仕切りながら、つなぐものでもある。自らの設計の軸に建具を活かし、建具メーカーも運営する著者が、近代建築の巨匠から気鋭の若手までの26作と、著者自身による13作を充実の図面・写真とともに紐解く。距離、構え、環境、ディテール、再利用の5つの観点から、境界と空間を操作する建具の可能性を見出す一冊。
以下に、プレビュー画像を掲載ます。
藤田雄介による書籍『建具の手がかり: 境界を操作する39の手法』の中身の画像
以下の写真はクリックで拡大します
目次
序 すべては建具である──閉てながらつながる空間モデルへ
1章 距離
──建具と構成の組み合わせによる複雑な距離感
1-1 スカイハウス(菊竹清訓)・・・かけがえのない空間を守る「自在な結界」
1-2 那須の山荘(宮晶子)・・・身体と環境を溶け合わせる門型壁と建具
1-3 T house(藤本壮介)・・・動かない建具としての薄い壁
1-4 ササハウス(矢部達也)・・・特別な「外」を生む軒下
1-5 藤村記念堂(谷口吉郎)・・・近いことと遠いことを内包する2本の境界線
著者事例1-1 ジャジャハウス・・・建具と柔軟な架構が支える、家であり公民館のような場の活動
著者事例1-2 柱の間の家・・・在来構法と建具による可変的な住み方
コラム1 感染症と建具2章 構え
──建具が表情をつくり、また一変させる
2-1 旧前川國男邸(前川國男)・・・「日本的なもの」と「モダニズム」が混成した素朴で開放的な建具
2-2 Small House(畝森泰行)・・・都市に近づくふるまいを喚起する建具
2-3 SHAREyaraicho(篠原聡子+内村綾乃)・・・コモンズを成り立たせるための2つの構え
2-4 家と道(中山英之)・・・異なる度合いで内部化された道の並列
2-5 KITAYON(寳神尚史+太田温子)・・・個の存在を街に表す、細やかな境界
2-6 house/studio O+U(木村吉成+松本尚子)・・・FRP板ファサードと軸組のずれによる「構え直し」
著者事例2-1 花畑団地27号棟プロジェクト・・・建具が再編する団地風景
著者事例2-2 傘と囲い・・・耐震補強と敷地への応答を兼ねた「建具的」な構え
コラム2 生産と建具3章 環境
──建具の重なりから生まれる多元的な快適性
3-1 聴竹居(藤井厚二)・・・境界の重なりから環境を制御する
3-2 反住器(毛綱毅曠)・・・奇抜な形の中に配慮が垣間見える室内窓
3-3 牛久のギャラリー(堀部安嗣)・・・「調整する」という建具のコモンセンス
3-4 白馬の山荘(仲俊治+宇野悠里)・・・自然との戯れを楽しむエコロジカルな境界
3-5 小杉湯となり(樋口耕介+瀧翠)・・・「銭湯的」な現象を生み出す建具と環境層
著者事例3-1 AKO HAT・・・サンルームと多面窓により熱と空気を調整する家
著者事例3-2 公園上の家・・・開放感と安堵感を自在に選び取れる家
著者事例3-3 羽根木の住宅・・・光を灯し、建築の手触りを取り戻すための部品
コラム3 衣服と建具4章 ディテール
──受け継がれつつ、積み重ねられる工夫
4-1 旧猪股邸(吉田五十八)・・・明朗性の中の「見えない境界」
4-2 井の頭の家(吉村順三、増築:日高章)・・・吉村障子と貸し室のある住み方に通ずる「緩やかな形式」
4-3 私たちの家(林昌二+林雅子、改修:安田幸一)・・・「空間の骨格」の中を自由に動く建具たち
4-4 ZIG HOUSE / ZAG HOUSE(古谷誠章)・・・壁と同化させた開きつつ遮る「間戸」
4-5 小石川の家(手嶋保)・・・「道理」に沿った建具と建築の一体化
著者事例4-1 東松山の住宅・・・框の見付けと面材による境界面の諧調
著者事例4-2 白と黒の家・・・必要な要素だけがある家と建具
著者事例4-3 山手の住宅・・・「通り」と「路地」、それぞれの建具の設え
コラム4 工芸と建具5章 再利用
──エレメントから空間を変え、広域と結びつく
5-1 豊崎長屋(大阪市立大学 竹原・小池研究室+ウズラボ)・・・都市の規範が編み出すフレキシブルな境界の操作
5-2 須栄広長屋(大阪市立大学 小池研究室+ウズラボ)・・・境界面の移動によって街との関わりしろをつくる
5-3 SAYAMA FLAT(長坂常)・・・残された建具が予期させる向こう側
5-4 真鶴出版2号店(冨永美保+伊藤孝仁)・・・建築と場所を縫い合わせる建具
5-5 &Form スタジオ兼ギャラリー(中村竜治)・・・間仕切りとしてのアルミサッシが生み出す「外」
著者事例5-1 芦花公園の住宅・・・空間の連続性と可変性を取り戻す布框戸
著者事例5-2 糸帳(いとばり)・・・建具の小さな改修から生まれる、街との適度な関係性
著者事例5-3 野縁の家・・・野縁を再構成した光天井と木枠建具による明るい部屋あとがき
建築データ・図版クレジット
■書籍概要
著者:藤田雄介
定価:本体2800円+税
発行:学芸出版社
発行日:2024年9月25日
体裁:B5変判・188頁(オールカラー)
装丁:飯田将平+佐々木晴(ido)
ISBN:9784761529048
GCODE:2332