ツバメアーキテクツ+狩野佑真がインテリア設計・外観調整・サイン計画を手掛けた、大阪・羽曳野市の、ネジ製造会社の社員食堂「ネジ工場の最上階」です。狩野は、アーティスト鈴木康広氏のアシスタントを経て自身のデザイン事務所を設立。プロダクトデザインなどを手掛けています。
大阪・羽曳野市に拠点を置く、ネジ製造会社の社員食堂設計プロジェクト。ネジ会社ならではの環境を活かし、この食堂のためだけに特殊ネジ製造やオリジナルマテリアルの開発などディテールを追求した設計を行った。社員にとっては普段見慣れているネジであり普通であれば隠されてしまう存在だが、あえて表に見せたり違った使い方を提案するなど改めてネジを視覚化することで、再びネジという存在を意識させることを意図した。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
ディテールの「遊び」から考える
大阪・羽曳野市に拠点を置く、ネジ製造会社の社員食堂設計プロジェクト。ネジ会社ならではの環境を活かし、この食堂のためだけに特殊ネジ製造やオリジナルマテリアルの開発などディテールを追求した設計を行った。社員にとっては普段見慣れているネジであり普通であれば隠されてしまう存在だが、あえて表に見せたり違った使い方を提案するなど改めてネジを視覚化することで、再びネジという存在を意識させることを意図した。
具体的には、ディテールの「遊び」について考えることで設計を進めた。
「ビスの断面削り出し」の天板や、アクリル内部にビスを宙に浮かせた「ビス封入アクリル」の契り(継手)や敷居・天板、光を反射させる「ワッシャー撒き仕上げ」など、この工場で製造される部材そのもののおもしろさを魅せるような笑える、文字通りの「遊び」としてのディテール。
さらにもう一つは、今回は、遠方のプロジェクトということもあり、東京近郊で什器の部材を作り出し、現場で瞬時に組み立てを行うようにした。そのため既存建物の様々な不陸に対応するために、ビスをすべて表にしたり軸同士が簡単にとりあうようにしたりと、現場で調整するためにディテールに「遊び」を持たせている。
今回は建築家とデザイナーの協働であるために、まさに「遊び」がハイブリッドしたようなディテールから全体が出来上がった。
■建築概要
施主:粉室製作所
インテリア設計・外観調整・サイン計画:ツバメアーキテクツ+狩野佑真
AB工事施工:日本建産
C工事施工:月造
写真:長谷川健太
竣工:2019年3月