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2025.11.10Mon
2025.11.09Sun
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とする
photo©下村写真事務所

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arbolwalk scapeリノベーション下村写真事務所住戸兵庫図面あり建材(内装・キッチン)建材(内装・壁)建材(内装・天井)建材(内装・床)建材(内装・浴室)建材(内装・照明)稔工務店
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするリビングダイニングから開口部越しにバルコニーを見る。夕景 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするリビングダイニングからニッチを見る。夕景 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするバルコニー側からリビングダイニングを見る。夕景 photo©下村写真事務所

堤庸策 / arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」です。
コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まいです。建築家は、“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案しました。また、既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”としています。

コロナ禍を経て、多くの人が「本当に必要なものとは何か」を見直すきっかけを得ました。この住まいの住み手もまた、自宅という空間に対する意識が大きく変化したと語っておられます。

好きな家具や植物、アートなど、自分にとって大切なものだけを引き寄せる暮らし。それらを美しく引き立て、静かに受け止める背景としての住まいを整えることが、このリノベーションの出発点となりました。

建築家によるテキストより

今回のリノベーションでまず取り組んだのが、空間の大きな整理でした。住まい手のご希望は「和室をなくして、光が届く広いリビングにしたい」「細かい仕切りや廊下はできるだけなくしたい」という明快なもの。その意図を受け、既存の間取りを一新し、ワンルームのような広がりと一体感を持たせた空間へと再構成しています。

もともと存在していた和室は撤去し、リビングの一部として取り込みながら、視線と光がのびのびと行き交う空間に。壁ではなく天井に曲線をもたせることで、仕切らずに“場”の気配をつくる工夫も盛り込みました。

天井に描かれた大きな円弧の造作は、空間に柔らかい緊張感をもたらしつつ、光の陰影をやさしく受け止め、家具の輪郭を引き立てる存在になっています。マットな質感の左官調仕上げ「マーブルフィール」と間接照明の組み合わせが、陰影のレイヤーを生み出し、静かな奥行きをもたらしています。

建築家によるテキストより

空間全体において、「光が入る広いリビングがほしい」「廊下をなくしたい」「細かく仕切らずにすっきりと」という施主の希望は、空間の構成に大きく影響しました。その中でも、リビング南側の処理は設計上の要所のひとつでした。

もともとこの部分には、マンションの共用部に面した開口部がありました。しかし、そこから見える景色に心地よさはなく、採光の期待も薄い。そこで私たちは、「あえて閉じる」という選択を採用しました。

新たに立ち上げた壁面には、楕円形に切り抜いた開口部を設け、そこにワーロン材のスライド建具を組み込みました。これにより、外の視線や雑多な要素を遮りながら、やわらかい光と奥行き感だけを室内に取り入れることができます。

開口部の奥には、間接照明とTVボードを計画的に配置。テレビや照明を空間に馴染ませながら、まるでアートピースのように“演出する”工夫を施しました。これは、「生活感を隠したい」「機能性と美しさを両立させたい」という住まい手の意図に応えたものであり、“閉じることで魅せる”という、住まいづくりにおけるひとつの逆転の発想でもあります。

建築家によるテキストより

以下の写真はクリックで拡大します

arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするエントランス側からリビングダイニングを見る。 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とする正面:リビングダイニング、右:エントランス photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするリビングダイニングから開口部越しにバルコニーを見る。 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするバルコニー側からリビングダイニングを見る。 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするバルコニー側からリビングダイニングを見る。 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするバルコニー側からリビング;ダイニングを見る。 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするリビングダイニングからエントランス側を見る。 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするリビングダイニングからニッチを見る。 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするリビングダイニングからニッチを見る。 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするリビングダイニングの家具類 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするリビングダイニング側からベッドルームを見る。 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするベッドルーム photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするウォークインクローゼット photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするキッチン photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とする洗面所 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするキッチン側から洗面所を見る。夕景 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするトイレ。夕景 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするエントランス。夕景 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするエントランス側からリビングダイニングを見る。夜景 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とする正面:リビングダイニング、右:エントランス。夕景 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするリビングダイニングから開口部越しにバルコニーを見る。夕景 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするバルコニー側からリビングダイニングを見る。夕景 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするリビングダイニングからニッチを見る。夕景 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするリビングダイニングからニッチを見る。夕景 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするベッドルーム。夕景 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とするベッドルーム。夕景 photo©下村写真事務所
arbolとwalk scapeによる、兵庫・西宮市の住戸改修「Apartment Renovation in Nishinomiya」。コロナ禍を経て意識が変化した施主の住まい。“大切な物だけを引寄せる暮らし”を意識し、家具等を引き立てる“円弧”状の天井がある空間を考案。既存開口の一部は“敢えて閉じる”操作で“魅せるニッチ”とする平面図 image©arbolとwalk scape

以下、建築家によるテキストです。


光が触れる、グレージュの静謐。
──北欧とモダンのあいだを漂う、ミニマルリノベーション──

「帰ってくる場所」としての選択

計画地は、阪神間でも特に落ち着いた空気が漂う西宮の一角。学生時代から長く親しんできたこのまちに、暮らしの拠点を設けるという選択は、住み手にとってごく自然な流れだったように感じます。

初めてお会いしたのは、梅田のオフィスで開かれたarbolの相談会にて。その後もゆっくりとご自身のライフスタイルや価値観を見つめ直しながら、「いつかこの場所で、自分の感性に寄り添う住まいを持ちたい」という想いを大切に育ててこられました。

数年の時間を経てあらためてお声がけいただき、設計が始まりました。

コロナ禍を経て見直した“暮らしの輪郭”

コロナ禍を経て、多くの人が「本当に必要なものとは何か」を見直すきっかけを得ました。この住まいの住み手もまた、自宅という空間に対する意識が大きく変化したと語っておられます。

好きな家具や植物、アートなど、自分にとって大切なものだけを引き寄せる暮らし。それらを美しく引き立て、静かに受け止める背景としての住まいを整えることが、このリノベーションの出発点となりました。

光を導き、廊下をなくすワンルーム的な空間構成

今回のリノベーションでまず取り組んだのが、空間の大きな整理でした。住まい手のご希望は「和室をなくして、光が届く広いリビングにしたい」「細かい仕切りや廊下はできるだけなくしたい」という明快なもの。その意図を受け、既存の間取りを一新し、ワンルームのような広がりと一体感を持たせた空間へと再構成しています。

もともと存在していた和室は撤去し、リビングの一部として取り込みながら、視線と光がのびのびと行き交う空間に。壁ではなく天井に曲線をもたせることで、仕切らずに“場”の気配をつくる工夫も盛り込みました。

天井に描かれた大きな円弧の造作は、空間に柔らかい緊張感をもたらしつつ、光の陰影をやさしく受け止め、家具の輪郭を引き立てる存在になっています。マットな質感の左官調仕上げ「マーブルフィール」と間接照明の組み合わせが、陰影のレイヤーを生み出し、静かな奥行きをもたらしています。

見せないことで整える収納と水まわり

機能性と美しさの両立は、この住まいの大きなテーマのひとつでした。特に水まわりに関しては、「生活感を隠したい」「機能的かつすっきりとまとめたい」というご要望に応え、元の配置は大きく変えずに、空間構成と素材の工夫で調和を図りました。

キッチン、浴室、トイレの床には、住まい手の理想だったマットなタイルを採用。ひと続きの素材感で空間をつなぎながら、視覚的なノイズを抑え、クリーンな印象を保っています。

また、玄関から水回りまでをゆったりとつなぐ動線上には、大容量のウォークインクローゼットを配置。「物が多いので、すっきりと片付けられるスペースがほしい」という要望に対し、収納力だけでなく、生活導線と一体化させることで、日々の暮らしの快適さにもつながる設計としています。

南側ニッチの工夫 ──「閉じて魅せる」逆転の発想

空間全体において、「光が入る広いリビングがほしい」「廊下をなくしたい」「細かく仕切らずにすっきりと」という施主の希望は、空間の構成に大きく影響しました。その中でも、リビング南側の処理は設計上の要所のひとつでした。

もともとこの部分には、マンションの共用部に面した開口部がありました。しかし、そこから見える景色に心地よさはなく、採光の期待も薄い。そこで私たちは、「あえて閉じる」という選択を採用しました。

新たに立ち上げた壁面には、楕円形に切り抜いた開口部を設け、そこにワーロン材のスライド建具を組み込みました。これにより、外の視線や雑多な要素を遮りながら、やわらかい光と奥行き感だけを室内に取り入れることができます。

開口部の奥には、間接照明とTVボードを計画的に配置。テレビや照明を空間に馴染ませながら、まるでアートピースのように“演出する”工夫を施しました。これは、「生活感を隠したい」「機能性と美しさを両立させたい」という住まい手の意図に応えたものであり、“閉じることで魅せる”という、住まいづくりにおけるひとつの逆転の発想でもあります。

この一角に、空間全体のリズムと奥深さが宿りました。

家具と色、感性のままに整える

住まいの中心には、「好きな家具を置いて過ごしたい」という明確な想いがありました。北欧のやさしさとミッドセンチュリーの素材感を織り交ぜるような家具を空間に迎え入れ、それを引き立てる余白を空間設計で整えています。

空間全体には、白ではなく淡いグレージュを基調に採用し、やわらかく品のある雰囲気を演出。住まい手のご希望である「モダンさと上品さを持ちながら、色も楽しみたい」というバランスを意識し、観葉植物や絵、ポイントカラーのアイテムが調和するよう配慮しています。

また、寝室はパブリック空間と明確に差別化。トーンを落とした素材や間接照明を用い、落ち着きと安心感を高める設えとしました。「寝室は空気感を変えたい」という住まい手の要望に、空間全体の設計言語を崩すことなく丁寧に応えています。

空気の質までデザインする

arbolからの提案で採用されたのが、オンダレスによる「第1種ダクトレス排気」システム。これは、室内と外気の温度差を最小限に保ちながら、新鮮な空気を取り込み続ける高性能な換気方式です。

換気性能を高めながら、冷暖房の効率も向上させるエコな設備は、目には見えないけれど、快適性に大きく影響する部分。素材や光と同じくらい、“空気”という設計要素にもこだわりました。

また、写真には映らないながらも重要なのがカーテンの設え。普段から閉めたままの生活を想定し、2箇所のカーテンには質感と色味にこだわった素材を使用し、空間に自然に溶け込むよう配慮しています。

最小限の中に、豊かさを見出す

この住まいには庭もなく、華美な装飾もありません。それでも、素材と光、奥行きと余白、そして“好きなもの”に対する誠実な眼差しが、空間を豊かに彩っています。

暮らしに必要なものだけを丁寧に置き、それを支える背景を整える。潔くそぎ落とされた空間だからこそ、静かに語りかけてくるものがある──そんな住まいが完成しました。

■建築概要

所在地:兵庫県西宮市
基本設計・実施設計・現場監理:arbol 担当/堤庸策、walk scape 担当/飯田航起
施工:株式会社稔工務店
照明:大光電機株式会社 担当/花井架津彦
空調:ジェイベック株式会社 担当/高田 英克
キッチン・浴室:神戸スタイル(吊戸棚は造作)
インテリアスタイリング:raum
構造:RC造(鉄筋コンクリート)
床面積:約76.56㎡
設計期間:2024年9月~2025年2月
工事期間:2025年3月~2025年7月
テキスト:madoca
撮影:下村写真事務所

建材情報
種別使用箇所商品名(メーカー名)
内装・床主要箇所 床

無垢オークフローリング(シェアウッズ)

内装・床一部 床

磁器タイル[soi-3090A](平田タイル)

内装・壁主要箇所 壁

マーブルフィール(プラネットウォール)

内装・天井主要箇所 天井

マーブルフィール(プラネットウォール)

内装・照明主要箇所 照明

ルーチフレックスアーチ(LUCI)
DDL-5697YW(DAIKO)

内装・キッチンキッチン

セミオーダーキッチン(神戸スタイル)

内装・浴室風呂

セミオーダーバス(神戸スタイル)

※企業様による建材情報についてのご意見や「PR」のご相談はこちらから
※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません

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    【ap job更新】 地域の文化と素材、数寄屋をテーマに活動する「Fumihiko Sano Studio」が、設計スタッフと設計パートナー(業務委託) を募集中伊勢朝熊 伊勢神宮内宮近くの5000平米を超える森に建つ数寄屋建築の貸切宿
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    地域の文化と素材、数寄屋をテーマに活動する「Fumihiko Sano Studio」の、設計スタッフと設計パートナー(業務委託) 募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
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    Fumihiko Sano Studioでは実務経験者/有資格者の設計スタッフ、設計パートナーを募集しています。

    弊社では佐野の持つ数寄屋大工というバックグラウンドを活かしながら、建築設計、インテリア、プロダクト、インスタレーション、アートワークなど、プロジェクトごとに作るコンセプトを中心に地域や自然の素材、一点ものの材料と向き合いながらものづくりをしていきます。

    日本文化や茶の湯、木材や金属、石、左官、紙、布、ガラスなどの様々な素材や技術を使い、伝統的なだけではなく新しく現代の姿へアップデートすることを目指し活動しています。

    受賞歴:EDIDA 2014 ELLE DECOR Young Japanese Design Talent、2016年度文化庁文化交流使、FRAME AWARD Emerging Designer of the Year2022、Single Brand Store of the Year 2023、IF DESIGN AWARD、GOOD DESIGN AWARD 等の賞を受賞し、国内外で色々な方面からの評価をいただいています。

    現在弊社では、住宅、別荘、宿泊施設の新築やリノベーション、飲食店、商業施設、工場、ショールームなど幅広い分野の計画が進行しております。
    プロジェクト担当者は作図作業だけでなくコンセプト発案から完成まですべて担当していただき、ものづくりと距離の近い環境で仕事をしていただけます。
    アート、工芸、グラフィックデザインなど、建築にとどまらない仕事への興味や趣味を持った方からの応募をお待ちしています。

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    2025.11.10 Mon 18:00
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    【ap job更新】 表札や看板などの“サインプロダクト”を手掛ける「株式会社anveil」が、商品開発部門のスタッフ(既卒・経験者)を募集中

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    【ap job更新】 表札や看板などの“サインプロダクト”を手掛ける「株式会社anveil」が、商品開発部門のスタッフ(既卒・経験者)を募集中
    【ap job更新】 表札や看板などの“サインプロダクト”を手掛ける「株式会社anveil」が、商品開発部門のスタッフ(既卒・経験者)を募集中「うつくしいお店を助け、残す」がミッション
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    表札や看板などの“サインプロダクト”を手掛ける「株式会社anveil」の、商品開発部門のスタッフ(既卒・経験者)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
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    anveilでは、デザインサイン事業 PIECEOFSIGN 商品開発アシスタントを募集します。

    表札・看板を中心としたサインブランド「PIECEOFSIGN」では、うつくしい店舗を支援するプロダクトやサービスを日本から世界へ展開しています。特にグローバル市場は成長率が高く、2027年中には日本国内の販売額を超える見込みです。
    今後はサイン以外の店舗什器や店舗の販促アイテム等のプロダクトの拡充で、店舗の誕生から成熟期までを支える”総合的な店舗支援のブランド”に成長中です。

    今回は、商品化までの全体の流れを管理する進行管理の役割を担ってくださる開発事務ポジションの方を募集します。
    将来的には商品開発デザイナーへキャリアアップしたい意欲ある方を歓迎いたします。

    【おもな業務】
    “アイデアを実際の形に変える”プロセス全体を動かす、中心的な役割です。
    プロジェクト全体の流れを設計し、自ら商品化を前に進めていく推進者としてのポジションです。また、既存プロダクトの改善もお任せします。
    具体的には、デザイナーが描いた図面や仕様書をもとに、国内外の工場と連携しながら製造を進行。サンプル確認、品質・仕様のすり合わせや、新規サプライヤー開拓、既存プロダクトの改善作業などもお任せします。

    【PIECE OF SIGNならではの環境】
    開発から製造までの一気通貫のユニークな環境で、製造や素材に関する知識を深めながら、店舗プロダクトの全体像を学べる環境があります。
    商品開発のプロフェッショナルのもとで、幅広い店舗プロダクトに携わることで視野を広げ、プロダクトの本質をつかむ力を磨くことができます。

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    2025.11.10 Mon 15:26
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    【ap job更新】 富裕層住宅や別荘を中心に、リゾートホテルなども手掛ける「and to 建築設計事務所」が、設計スタッフ(経験者・既卒・2026年新卒)と 広報事務を募集中

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    【ap job更新】 富裕層住宅や別荘を中心に、リゾートホテルなども手掛ける「and to 建築設計事務所」が、設計スタッフ(経験者・既卒・2026年新卒)と 広報事務を募集中
    【ap job更新】 富裕層住宅や別荘を中心に、リゾートホテルなども手掛ける「and to 建築設計事務所」が、設計スタッフ(経験者・既卒・2026年新卒)と 広報事務を募集中Grove Strolling Corridor / 日本空間デザイン賞2025金賞 / 新建築 住宅特集2024.11月号 / モダンリビング278 / Richesse 52号/ photo by Koji Fujii(TOREAL)
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    富裕層住宅や別荘を中心に、リゾートホテルなども手掛ける「and to 建築設計事務所」の、設計スタッフ(経験者・既卒・2026年新卒)と 広報事務 募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
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    【and to 建築設計事務所について】
    代表の谷口幸平は、中村拓志&NAP建築設計事務所で設計部長、ディレクターを歴任し、約10年勤務(狭山の森 礼拝堂・休憩棟、数々の住宅、商業施設、ホテル等を担当)。2019年に現事務所を設立し、現在は8名が在籍する設計事務所です。
    「場所が育てる建築」をテーマに、その場の潜在的価値を顕在化し、最大化する事を目標にしています。

    事務所名の「and to」とは接続詞 and と前置詞 to を組み合わせた言葉です。接続詞のように「人、地域、自然環境、歴史」を建築が繋ぎ、前置詞のように建築がその方向性を示してプロジェクトの目的へ到達する事を表しています。等位接続詞であるand が語と語、句と句を対等に結ぶように施主、施工者と私達はもちろん、スタッフにも積極的な提案や、コミュニケーションをして頂ける方を募集します。

    【進行中プロジェクトと業務内容】
    2025年は、「JID AWARD 2025 大賞」、「日本空間デザイン賞2025 金賞」等、その他多数のアワードを受賞。現在は、日本各地で富裕層住宅や別荘、リゾートホテル、オフィスと植物温室、撮影スタジオ、ランドスケープ等、様々なプロジェクトが進行中です。

    事業収支を含めた企画段階からコンセプト立案、建築のアイデアから実施設計、設計監理はもちろん、ランドスケープデザインや家具のデザインまで幅広い業務を行います。ほとんどの物件でオリジナルの家具を製作し、インテリアやディテールにも力を入れています。インテリアや家具のデザインに興味がある方も大歓迎です。

    1年目から担当物件を持ち、プロジェクトに携わって頂きますので、自身の能力を高めたい方をお待ちしております。

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    2025.11.10 Mon 09:48
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    宮崎晃吉 / HAGISOによる、群馬の住宅「前橋の道の輪郭」。路地状の共有地などが見られる街区での計画。建築の時間と住み手の時間との折合いも主題とし、読み替えられながらも生き続ける存在を志向。路地の延長線上の“たまり”となる中庭の周りに諸室を配置する建築を考案
    photo©楠瀬友将

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    architecture|feature
    HAGISO坂田涼太郎構造設計事務所安松託建楠瀬友将建材(外装・壁)建材(外装・屋根)建材(内装・床)建材(内装・壁)建材(内装・天井)建材(内装・柱)建材(内装・照明)建材(内装・キッチン)建材(内装・造作家具)建材(内装・その他)建材(外構・床)建材(外構・家具)住宅図面あり宮崎晃吉群馬
    宮崎晃吉 / HAGISOによる、群馬の住宅「前橋の道の輪郭」。路地状の共有地などが見られる街区での計画。建築の時間と住み手の時間との折合いも主題とし、読み替えられながらも生き続ける存在を志向。路地の延長線上の“たまり”となる中庭の周りに諸室を配置する建築を考案外観、南側の道路より見る。 photo©楠瀬友将
    宮崎晃吉 / HAGISOによる、群馬の住宅「前橋の道の輪郭」。路地状の共有地などが見られる街区での計画。建築の時間と住み手の時間との折合いも主題とし、読み替えられながらも生き続ける存在を志向。路地の延長線上の“たまり”となる中庭の周りに諸室を配置する建築を考案外観、「通り庭」より中庭を見る。 photo©楠瀬友将
    宮崎晃吉 / HAGISOによる、群馬の住宅「前橋の道の輪郭」。路地状の共有地などが見られる街区での計画。建築の時間と住み手の時間との折合いも主題とし、読み替えられながらも生き続ける存在を志向。路地の延長線上の“たまり”となる中庭の周りに諸室を配置する建築を考案1階、リビング側からダイニングとキッチンを見る。 photo©楠瀬友将
    宮崎晃吉 / HAGISOによる、群馬の住宅「前橋の道の輪郭」。路地状の共有地などが見られる街区での計画。建築の時間と住み手の時間との折合いも主題とし、読み替えられながらも生き続ける存在を志向。路地の延長線上の“たまり”となる中庭の周りに諸室を配置する建築を考案1階、「アリーナ」 photo©楠瀬友将

    宮崎晃吉 / HAGISOが設計した、群馬の住宅「前橋の道の輪郭」です。
    路地状の共有地などが見られる街区での計画です。建築家は、建築の時間と住み手の時間との折合いも主題とし、読み替えられながらも生き続ける存在を志向しました。そして、路地の延長線上の“たまり”となる中庭の周りに諸室を配置する建築を考案しました。

    群馬県前橋市の駅周辺に建つ住宅。
    前橋駅と中心市街地は少し離れており、その間を駅前にしてはのんびりとした宅地が埋めている。グリッド街区に対して、住宅や事務所、たまに飲食店、と小ぶりな建築が並んでいる。

    旗竿敷地がせめぎあい、街区の中心部は接道できない宅地も生まれてきており、それらは路地状の共有地によってそのアクセスが確保されていたりする。そんな街区の中の、旗竿形状ながら86坪のやや広めな敷地に住宅を設計することになった。


    建築家によるテキストより

    住宅において、建築そのものの時間とそこに住む人々の時間をどう折り合わせるかという課題は避けて通れない。一方で建築は人間よりも長く存続しうる存在であり、決して安価な消費財ではない。標準的に規定された家族像や「住むため“だけ”の機械」としての住宅が、時間を経るごとに想定と現実の間にギャップを生み出していく。

    さらに相続による分割が進み、身の丈に合った住宅像が固定化し、住宅を住宅らしく作ることの閉塞感は住宅の短命化に拍車をかけている。

    まずは、街区に潜む獣道のような共有地や路地の延長線上の「たまり」として中庭を位置づけた。この中庭を囲うように、北関東地域特有の冬季の季節風である「からっ風」から守る曲面をもつ壁を配置する。この壁の内側に身を寄せるように中庭と一体的になったアリーナや諸室が並んでいる。


    建築家によるテキストより

    季節に応じた光の入射角をふまえた庇は、立面を分割し建具が過大になるのを避けている。中庭に対して徐々に庇がおりていってすり鉢状となることで、街区の奥の中庭でも大きな空を感じることができる。

    曲面壁の裏地としての内部仕上げはラワン合板の下見板張とし、書棚に並ぶ本や華奢な手すりとともに、無機質でシームレスな外観に対してスケールを落としている。


    設計を進めていく中でも家族の形は変わっていく。当初は予期していなかった5人目の子供が生まれ、中学生の長男は反抗期を迎える。常に変化する住まい方に対して、それを受け入れる建築のおおらかな全体が都市の部分として定着してくれば、この住宅は読み替えられながらも生き続けていけるはずだ。

    建築家によるテキストより
    • 残り38枚の写真と建築家によるテキスト
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    HAGISO坂田涼太郎構造設計事務所安松託建楠瀬友将建材(外装・壁)建材(外装・屋根)建材(内装・床)建材(内装・壁)建材(内装・天井)建材(内装・柱)建材(内装・照明)建材(内装・キッチン)建材(内装・造作家具)建材(内装・その他)建材(外構・床)建材(外構・家具)住宅図面あり宮崎晃吉群馬
    2025.11.10 Mon 07:00
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    最も注目を集めたトピックス[期間:2025/11/3-11/9]

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    最も注目を集めたトピックス
    最も注目を集めたトピックス[期間:2025/11/3-11/9]

    アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2025/11/3-11/9)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


    1. 青木真研究室による、東京・練馬区の「緑の家」。地域の散歩道となっている緑道沿いの敷地。体験への“特徴的なシーンの挿入”を意図し、曲面と平面が混交する“樹木に呼応したような形態”の建築を考案。内部はニッチ空間が立体的に連続した垂直的一室空間とする
    2. スノヘッタによる、中国の「杭州チエンタン湾美術館」。湾岸開発の中核となる施設。芸術と文化の波や運動を空間的に解釈して、自然と芸術が交わる“想像力の扉”となる存在を志向。橋の形や機能も参照した“波の様なヴォリューム”で周囲と滑らかに繋がる建築を考案
    3. 佐久間徹設計事務所による、東京・三鷹市の「井の頭の家A」。閑静な住宅街の敷地。建て込む環境での“自然の感受”を求め、“45°回転させた正方形”を3つ並べて“複数の庭”を作り出す平面構成を考案。多方向の庭木への眺望の獲得と同時に内部空間に視覚的な奥行きも生む
    4. 村野藤吾設計の「旧横浜市庁舎行政棟」(1959年竣工) が、宿泊施設に転用され2026年4月にオープン。改修設計は竹中工務店。利用客使用部分のインテリアの基本設計と監修を成瀬・猪熊建築設計事務所が手掛ける
    5. 成瀬・猪熊建築設計事務所による、東京・新宿区の集合住宅「風の道テラス」。坂道が並行して通る地域に建つコーポラティブハウス。風が通り視線も抜ける道の豊かさに着目し、“街の骨格”をそのまま敷地に入れ込む計画を考案。全体を6つに分割して空が見え光も差し込む5つのスリットを通す
    6. 押山剛司建築設計事務所による「栃木の家」。戸建てと田んぼが入り混じる住宅街の敷地。植物や庭いじりが好きな施主の為に、個性的な複数の庭と建築が“絡み合う”ような平面構成を志向。箱形をベースとして“スタックとシフト”を繰り返して造り上げる
    7. 【ap Masterpiece】OMAによる、オランダ・ロッテルダムの美術館「クンストハル」(1992年)
    8. スノヘッタによる、フランス・パリの店舗「Canada Goose Paris」。ファッションダウンブランドの旗艦店。“境界のない”というコンセプトを掲げ、シグネチャールックに根ざしながら“美的表現を超える”空間を志向。インテリアからデザインガイドラインまで包括的に手掛ける
    9. ミナ ペルホネンによる、世田谷美術館での展覧会の入場チケットをプレゼント。“特別な日常着”を掲げてオリジナルの生地からプロダクトまで手掛ける、ファッション・テキスタイルブランド
    10. ザハ・ハディド・アーキテクツによる、中国・杭州の「グランドキャナル・ゲートウェイブリッジ」。世界遺産の運河に架かる歩道橋。地域の伝統である“シルク刺繍の伝統”に着想を得て、“縫いの技法を再解釈”するような形態を考案。先進的なデジタル技術での最適化で環境負荷を軽減して持続可能な存在とする
    11. SANAAによる、台湾の「Taichung Green Museumbrary」が2025年12月にオープン。旧軍用空港跡地の公園内に計画された美術館と図書館を統合した施設。軽やかで開かれた存在を目指し、アルミとガラスの二重構造のファサードで地上レベルに全方向からアクセス可能な公共広場を備えた建築を考案
    12. 【ap job更新】 “適法改修”による建物の再生に特化し、様々な用途のコンサルや設計を行う「株式会社 建築再構企画」が、スタッフ(経験者・既卒)を募集中
    13. 21_21 DESIGN SIGHTでの展覧会「デザインの先生」の入場チケットをプレゼント。ブルーノ・ムナーリ、マックス・ビル、アキッレ・カスティリオーニ、オトル・アイヒャー、エンツォ・マーリ、ディーター・ラムスを“デザインの先生”と捉えて、活動の軌跡を改めて振り返る
    14. 35歳以下の若手建築家による展覧会「Under 35 Architects exhibition 2025」。藤本壮介が審査して選出した建築作品を展示。若手建築家の発表機会の創出と日本建築の可能性の提示を趣旨として開催
    15. BIGなどが設計に参加した、ニューヨークの「ソーラー・ワン環境教育センター」。水害対策として計画された公園群の一角にある施設。子供の為の教室も備えた災害時に電力を供給する避難所として、浸水時を想定した仕様に加えて太陽光パネルや蓄電システムも配備した建築を考案
    16. 大室佑介アトリエによる、香川・多度津町の「鳥のための塔」。アート祭への出展作品として計画。“雄大な自然への敬意”と“墓地に近接する立地”も考慮し、島の一部となる“ささやかな塔”を志向。正八角形の柱の中に“円筒状”の内部空間を作って中谷ミチコのレリーフを配置
    17. 渡部光樹+渡部梨華 / Wによる、秋田の「大館の住宅」。地方部の“建ち方”にも向き合った計画。集団規定の影響を殆ど受けない与件に対し、外部空間に対して“自覚的な在り方”の建築を志向。敷地を囲む様に量塊を配置して“性質の異なる二つの中庭”を設ける構成を考案
    18. フォスター+パートナーズによる、ニューヨークの「270パーク・アベニュー」。JPモルガンのグローバル本社ビル。独特なカンチレバー構造で広い公共空間と視界の抜けを確保し、ウェルビーイングに重点を置いた換気や照明の計画も実施。全体の多様なアクティビティは“都市の中の都市”を意図
    19. 藤森照信と聴竹居倶楽部の松隈章による対談イベントの動画。2025年10月に行われたもの
    20. 鎌倉市の新庁舎等基本設計プロポーザルで、日建設計が最優秀者に選定。コンセプトは「ひとつながりの未来の庁舎『鎌倉ONE』」。提案のイメージも公開

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    2025.11.10 Mon 06:54
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    2025.11.08Sat
    • 【ap job更新】 “適法改修”による建物の再生に特化し、様々な用途のコンサルや設計を行う「株式会社 建築再構企画」が、スタッフ(経験者・既卒)を募集中

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