



BIGなどが設計に参加した、ニューヨークの「ソーラー・ワン環境教育センター」です。
水害対策として計画された公園群の一角にある施設です。建築家たちは、子供の為の教室も備えた災害時に電力を供給する避難所として、浸水時を想定した仕様に加えて太陽光パネルや蓄電システムも配備した建築を考案しました。
正式な設計者クレジットは、本文中および記事末尾に掲載しています。また、アーキテクチャーフォトでは、公園全体も特集記事として掲載しています。
こちらはリリーステキストの翻訳です(文責:アーキテクチャーフォト / イーストサイド・コースタル・レジリエンシー・プロジェクトのプレスリリースから該当箇所を抜粋)
イースト23丁目とアベニューCに位置し、ESCRの北側の玄関口となるのが、新しいソーラー・ワン環境教育センターです。この施設は、BIGがNYC経済開発公社(NYCEDC)、ギルベイン・ビルディング・カンパニー、TYLin(旧Silman)、コセンティーニ・アソシエイツ、MNLAなどとともに設計しました。太陽光発電パネルと蓄電池を最初から組み込んだニューヨーク市初の建物として、この6,409平方フィート(約595平方メートル)の木材で覆われた施設は、旧ソーラー・ワンの建物の後継となります。旧施設は、ハリケーン・サンディの際に34丁目以南で電力網が停止した際、地域住民に太陽光による充電電力を提供し、重要な避難所となりました。現在、この2階建てのセンターは、ニューヨーク市全域で環境教育、研修、技術支援を提供するというソーラー・ワンの使命をさらに拡大しています。その中には、NYCの公立学校におけるK-12(幼稚園から高校まで)のSTEM教育プログラムや、地域のイベントのための柔軟に使える教室も含まれています。
外装にはFSC認証を受けた木製スラットを使用し、屋根全体には太陽光パネルが敷き詰められ、さらに蓄電システムも備えたこの建物は、コンクリートの使用を最小限に抑えています。コンクリートは浸水想定高さの部分にのみ用い、それより上の階層には軽量でリサイクル可能な鋼材を取り入れています。教室は海抜19フィート(約5.8メートル)の高さに設置されており、地上階の収納スペースは透水性のある金属グレーチングで囲まれているため、嵐の際には水が自由に流れるようになっています。室内には床から天井まで広がる窓があり、イーストリバーやブルックリン、クイーンズの壮大な景色を望むことができます。窓には三重ガラスが使用されており、鳥に優しい仕様となっているほか、隣接するFDRドライブからの騒音も軽減します。教室はESCR内の連続するテラスと庭園を備えた遊歩道とシームレスにつながっており、イーストリバーのすぐそばで現実に即した学びの体験を生み出しています。
このセンターは、蓄電池を備えた21kWの太陽光パネル群によって電力を生成しており、停電時にも近隣のニューヨーカーを支援するために開館を継続できる可能性があります。ESCRの「感嘆符」ともいえる存在として、この建物は、1,340フィート(約408メートル)にわたる新たな洪水防止壁、スライド式の防水ゲート、そして洪水に強い堤防と隣接しています。これらは沿岸洪水から周辺地域を守るために導入された強靭化対策です。LEEDシルバー認証の取得に向けて進んでいるソーラー・ワン環境教育センターは、現代的な洪水防止のモデルであると同時に、気候変動への適応を学ぶための教材でもあります。
これらの強靭化の取り組みは南へと続いており、BIGは現在、ターナー&EEクルーズ・ジョイントベンチャー、SCAPEランドスケープ・アーキテクチャー、アルカディスとともに、ノース/ウェスト・バッテリー・パークシティ・レジリエンシー・プロジェクト(NWBPCR)の設計にも携わっています。このプロジェクトは、トライベッカのサウス・コーブからノース・ムーア・ストリートまでの区間を対象としています。これらの相互に連携した取り組みが合わさって、将来にわたりロウアー・マンハッタンを守る、連続性のある気候強靭なウォーターフロントが形成されることになります。








