佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案外観、南西側の道路より見る。夕景 photo©八木元春
佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案外観、北西側の道路より見る。夕景 photo©八木元春
佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案2階、教室部分、スタジオ photo©八木元春
佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案3階、住宅部分、テラスとリビングダイニング(建築家による解説:室内の延長として感じられる) photo©八木元春
佐野健太建築設計事務所が設計した、東京・豊島区の「東京のバレエハウス」です。
ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画です。建築家は、“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向しました。そして、都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案しました。
江戸の二大庭園「六義園」のほど近く、古くからの住宅地に建つバレエスクール兼住宅である。
往時には多くの植木店でにぎわっていたというこの界隈。顔の見える近所付き合いが今もなお根強く残っており、ウェットな雰囲気が感じられる街でもある。
一方、バレエに限らずダンススタジオには一般的に独立性や隠蔽性が求められ、公に対して閉じられがちな印象は否めない。そこで、本プロジェクトでは、この場所における都市と住宅、そしてスタジオという三者の関係をテーマに掲げ、それらを如何に調停していくかが設計の鍵となっていった。
街との接点となるグランドレベルには、誰でも気軽に立ち寄れるテラスを地上面から300㎜掘り下げた位置に設け、植栽帯で緩やかに取り囲んだ。建主はこの街で生まれ育ち、スクールもこの街と共にずっとあり続ける。街にたいしてささやかな恩返しとなるような建設の行為でありたいとおもった。
スタジオは敷地から得られる最大面積を確保し、大きな跳躍にも十分な高さとして有効を4.2mに設定している。床は地面から切り離され、上下それぞれ小さなボリュームが積み重なる。下層はスタジオの付属機能とガレージ、上層は少人数での暮らしを想定したコンパクトな住宅である。これらボリュームどうしのズレが空隙を生み、軒下やテラスとなってグリーンをふんだんに取り込んでいる。
建主が主催するバレエスクールでは一貫して公演(発表会)をたいせつにしてきた。建築側でもこの精神を受け継ぎ、劇場を一つのモデルとして考えてみることにする。北側開口をプロセニアム、テキスタイルを緞帳と見立てればスタジオは舞台へと変わり、外の都市は客席となって広がっていく。ガレージの天井高を限界まで抑え舞台レベルを道路面に近づけることで街との距離を縮めようと試みた。
住居部分はさながらペントハウスの様相を呈している。テラスが周りをとり囲み、室内の床とシームレスにつながっていく。斜線制限を回避しながら大胆に削ぎ落とされた屋根形状は、そのままインテリアに勾配天井となってあらわれ、水廻りと収納が格納されたボックスの上が就寝のためのスペース、残りはすべて食事と団欒空間という、極めてシンプルな構成である。
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佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案外観、北西側の道路より見る。夕景 photo©八木元春

佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案外観、北西側の道路より見る。夕景 photo©八木元春

佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案外観、南西側の道路より見る。夕景 photo©八木元春

佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案外観、西側の交差点より見る。 photo©八木元春

佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案外観、南西側の道路より見る。 photo©八木元春

佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案外観、壁の仕上げと外構 photo©八木元春

佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案外観、壁の仕上げ photo©八木元春

佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案1階、教室部分、テラス。夕景(建築家による解説:道路面より300㎜ほど掘り込まれている) photo©八木元春

佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案1階、教室部分、ラウンジから開口部越しにテラスを見る。 photo©八木元春

佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案2階、教室部分、スタジオ photo©八木元春

佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案2階、教室部分、スタジオ photo©八木元春

佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案2階、教室部分、キャットウォークからスタジオを見下ろす。 photo©八木元春

佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案2階、教室部分、スタジオ、カーテンの詳細(リボンに着想を得たテキスタイルのパターン) photo©八木元春

佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案3階、住宅部分、ダイニングから玄関土間側を見る。 photo©八木元春

佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案3階、住宅部分、キッチンからダイニングを見る。 photo©八木元春

佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案3階、住宅部分、テラスとリビングダイニング(建築家による解説:室内の延長として感じられる) photo©八木元春

佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案3階、住宅部分、リビング、階段(建築家による解説:鉄骨階段のささらが上り框を兼ねる) photo©八木元春

佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案外観、北西側の道路より見る。夜景 photo©八木元春

佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案配置図 image©佐野健太建築設計事務所

佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案1階平面図 image©佐野健太建築設計事務所

佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案3階平面図 image©佐野健太建築設計事務所

佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案2階平面図 image©佐野健太建築設計事務所

佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案4階平面図 image©佐野健太建築設計事務所

佐野健太建築設計事務所による、豊島区の「東京のバレエハウス」。ご近所付き合いが今も残る古い住宅街での計画。“公に対し閉じがち”な用途に向合い、都市・住宅・スタジオの関係性を主題として“調停”する設計を志向。都市を劇場の客席に見立てたスタジオを備えた建築を考案断面図 image©佐野健太建築設計事務所
以下、建築家によるテキストです。
江戸の二大庭園「六義園」のほど近く、古くからの住宅地に建つバレエスクール兼住宅である。
往時には多くの植木店でにぎわっていたというこの界隈。顔の見える近所付き合いが今もなお根強く残っており、ウェットな雰囲気が感じられる街でもある。
一方、バレエに限らずダンススタジオには一般的に独立性や隠蔽性が求められ、公に対して閉じられがちな印象は否めない。そこで、本プロジェクトでは、この場所における都市と住宅、そしてスタジオという三者の関係をテーマに掲げ、それらを如何に調停していくかが設計の鍵となっていった。
街との接点となるグランドレベルには、誰でも気軽に立ち寄れるテラスを地上面から300㎜掘り下げた位置に設け、植栽帯で緩やかに取り囲んだ。建主はこの街で生まれ育ち、スクールもこの街と共にずっとあり続ける。街にたいしてささやかな恩返しとなるような建設の行為でありたいとおもった。
スタジオは敷地から得られる最大面積を確保し、大きな跳躍にも十分な高さとして有効を4.2mに設定している。床は地面から切り離され、上下それぞれ小さなボリュームが積み重なる。下層はスタジオの付属機能とガレージ、上層は少人数での暮らしを想定したコンパクトな住宅である。これらボリュームどうしのズレが空隙を生み、軒下やテラスとなってグリーンをふんだんに取り込んでいる。
建主が主催するバレエスクールでは一貫して公演(発表会)をたいせつにしてきた。建築側でもこの精神を受け継ぎ、劇場を一つのモデルとして考えてみることにする。北側開口をプロセニアム、テキスタイルを緞帳と見立てればスタジオは舞台へと変わり、外の都市は客席となって広がっていく。ガレージの天井高を限界まで抑え舞台レベルを道路面に近づけることで街との距離を縮めようと試みた。
住居部分はさながらペントハウスの様相を呈している。テラスが周りをとり囲み、室内の床とシームレスにつながっていく。斜線制限を回避しながら大胆に削ぎ落とされた屋根形状は、そのままインテリアに勾配天井となってあらわれ、水廻りと収納が格納されたボックスの上が就寝のためのスペース、残りはすべて食事と団欒空間という、極めてシンプルな構成である。
海外から訪れた構造家が内部からの風景を評し、極めて東京的だとふと呟いたことがある。そこにみえていたのはハイライズの背後に連なる中高層から戸建までの高密なグラデーション。そんな風景との連続性をたいせつにしていたことからもこの建築を「東京のバレエハウス」と名付けることにした。
■建築概要
題名:東京のバレエハウス
所在地:東京都豊島区
主要用途:バレエスタジオ併用住宅
設計:佐野健太建築設計事務所 担当/佐野健太、梯朔太郎、山本麗奈
構造:yasuhirokaneda STRUCTURE 担当/金田泰裕、青山健太
構造協同設計:BEYOND ENGINEERING 担当/木村洋介
設備(アドバイザリー業務):コモド設備計画 担当/山下直久、松井知行
照明:岡安泉照明設計事務所 担当/岡安泉
テキスタイル:安東陽子デザイン 担当/安東陽子、松井萌真
ファサード:GLASS MASTERS&PARTNERS 担当/賀井伸一郎
外構・造園:solso 担当/藤﨑克実
施工:建匠社 担当/小川明、川添浩介
鉄骨:三栄工業 担当/岩渕純一
ALC・耐火塗料・板金:サンライズ 担当/矢作達也
給排水:石川管工 担当/石川智一
空調:創夢工業 担当/石田勝則
電気:山大電気 担当/坂主紀弘
バレエ床:アテール 担当/桐林昇、松澤愛知
カーテンウォール:宮吉硝子 担当/若松賢、松岡達哉
外装(西側壁面):Sto Japan 担当/廣田勝久、伊藤春貴
構造:鉄骨造
階数:地下0階 地上4階建て
敷地面積:166.99㎡
建築面積:116.38㎡(建蔽率69.70% 許容80%)
延床面積:274.98㎡(容積率164.49% 許容240%)
設計期間:2021年12月~2023年11月
工事期間:2023年11月~2024年10月
写真:八木元春