蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 外観、南側の道路より見る。 photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 「シェアキッチン(カフェ)」から「オープンルーム(カフェ)」側を見る。 photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 「オープンルーム(カフェ)」から「シェアキッチン(カフェ)」側を見る。 photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 俯瞰、南東側より見下ろす。(イベント時の様子) photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所 が設計した、大阪・吹田市の「江坂ひととき」です。
高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点の計画です。建築家は、都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向しました。そして、森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造りました。施設の場所はこちら (Google Map)。
江坂ひとときは、現代社会の中で分断されてしまった都市と農村という異なる生活圏のあいだに新たな交流を生み出し、双方の課題に応答することを目的に計画された建築である。
土地所有者であるクライアントと建築家がコンセプトを共有し、企画・計画を進める過程で地域住民を巻き込みながら、プロジェクトをつくり上げていった。このプロジェクトは企業などの団体が事業を行うために計画されたものではなく、クライアントと建築家の2人の想いからプロジェクトがスタートし、その理念に賛同する地域住民が徐々に参加をしながら、プロジェクトの内容が固まっていった。
つまり特定の目的を遂行するためではなく、市民の自主的な参加によって、それぞれの主張が反映されながら、民主的に計画が策定されていくという特殊なプロセスによって実現されているのである。
里山の森との直接的関係性から建築をつくるために、里山である能勢町の林業家との対話を始めた。
その森では現在、広葉樹を中心とした林業が行われている。クヌギやコナラの雑木林を伐採して薪などの燃料として販売している。日本では1960~70年代の高度経済成長期から針葉樹の植林による林業が進められており、原生林である広葉樹林が針葉樹林に置き換えられている。この森では、元来の植生に戻す林業の取り組みが行われている。
その営みと呼応する広葉樹の建築を作ることを試みた。我々設計者が森に行き、伐採された樹木を1本1本確認し、使用する材を決定した。
このプロジェクトでは、都市と里山の間に循環を生むことで、地域間の持続可能性を高めることを目標としている。
カフェや木工室では、里山の食材や木材が日常的に消費されている。マーケットなどのイベント時は、里山の生産者がここで野菜などの販売を行い、多くの人が集まる。
子どもたちへの環境教育は、環境問題への意識を培い、地球環境の保全に貢献する。この建築を通して、都市と里山の人々の交流による地域間の循環が生まれている。
さらには、人やモノの循環だけでなく、建築も環境負荷の低減に貢献する設計を行っている。まず、建築自体をほぼ木材だけでつくっている。木造建築はCO2を貯蔵する箱のような役割を果たし、地球温暖化の抑制に貢献する。この建築はCO2を18.3t固定しており、大阪府から認証を受けている。
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蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 外観、南側の道路より見る。 photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 外観、南側の道路より見る。 photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 外観、敷地内の南東側より見る。 photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 外観、敷地内の北東側より見る。 photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 「シェアキッチン(カフェ)」から「オープンルーム(カフェ)」側を見る。 photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 「シェアキッチン(カフェ)」を見る。 photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る サテライトショップ兼受付から「オープンルーム(カフェ)」側を見る。 photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 「シェアキッチン(カフェ)」から「オープンルーム(カフェ)」側を見る。 photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 「オープンルーム(カフェ)」から開口部越しに外部を見る。 photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 「オープンルーム(カフェ)」から「シェアキッチン(カフェ)」側を見る。 photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 「オープンルーム(カフェ)」から「シェアキッチン(カフェ)」側を見る。 photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 「クリエイティブルーム」 photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 「オープンルーム(カフェ)」、架構の詳細 photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 俯瞰、南東側より見下ろす。(イベント時の様子) photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 外観、南側の道路より見る。(イベント時の様子) photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 外観、南側の道路より見る。(イベント時の様子) photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 外観、敷地内の東側より見る。(イベント時の様子) photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 外観、敷地内の南東側より見る。(イベント時の様子) photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 外観、敷地内の南東側より見る。(イベント時の様子) photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 外観、敷地内の東側より見る。(イベント時の様子) photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 外観、敷地内の北東側より見る。(イベント時の様子) photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 「オープンルーム(カフェ)」(イベント時の様子) photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 「オープンルーム(カフェ)」から開口部越しに外部を見る。(イベント時の様子) photo©大竹央祐
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 広域配置図 image©蘆田暢人建築設計事務所
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 配置図 image©蘆田暢人建築設計事務所
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 平面図 image©蘆田暢人建築設計事務所
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 断面図 image©蘆田暢人建築設計事務所
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る ヤング率測定結果 image©蘆田暢人建築設計事務所
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る ヤング率測定の様子 photo©蘆田暢人建築設計事務所
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 森に木を選びに行く photo©蘆田暢人建築設計事務所
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 選んだ広葉樹の柱 photo©蘆田暢人建築設計事務所
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 熱化学還元処理の様子 photo©蘆田暢人建築設計事務所
蘆田暢人建築設計事務所による、大阪・吹田市の「江坂ひととき」。高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点。都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向。森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造る 施工中の様子 photo©大竹央祐
以下、建築家によるテキストです。
■都市と農村をつなぐ地域交流拠点ー江坂ひととき
江坂ひとときは、現代社会の中で分断されてしまった都市と農村という異なる生活圏のあいだに新たな交流を生み出し、双方の課題に応答することを目的に計画された建築である。
土地所有者であるクライアントと建築家がコンセプトを共有し、企画・計画を進める過程で地域住民を巻き込みながら、プロジェクトをつくり上げていった。このプロジェクトは企業などの団体が事業を行うために計画されたものではなく、クライアントと建築家の2人の想いからプロジェクトがスタートし、その理念に賛同する地域住民が徐々に参加をしながら、プロジェクトの内容が固まっていった。
つまり特定の目的を遂行するためではなく、市民の自主的な参加によって、それぞれの主張が反映されながら、民主的に計画が策定されていくという特殊なプロセスによって実現されているのである。
敷地は日本第二の都市・大阪の中心部に近い、吹田市江坂という地域にある。周辺はマンションやオフィスが立ち並ぶ高密度な都市である。窮屈な都市生活を強いられている地域住民のために、芝生広場やビオトープなどの自然に触れられる場所、平屋の木造で造られたカフェレストラン、都市部ではなかなか自由に行えない木工作業ができる木工室を備えた超低密度な建築を計画した。
■プロジェクトの背景ー都市と里山、それぞれの課題
江坂から車で40分程度のところに能勢町という地域がある。
ここでは農業や林業を営む人々が暮らす里山と呼ばれる地域が広がる。里山とは、人の暮らしと自然が長い時間をかけて関わりながら形成されてきた、集落と森林が共存する環境である。
かつての都市は、エネルギーや資源(薪炭、建築材、水、食料など)を周辺の里山に依存しており、里山は人の手入れによって維持されることで、持続的にそれらを供給していた。つまり、都市の暮らしは里山によって支えられ、里山は都市の需要によって保たれるという、循環的な関係が成立していたのである。
しかし近代以降、化石燃料や輸入資源の普及、都市化の進展によってこの関係は次第に切り離され、都市と里山は分断されていき、都市および里山はそれぞれ下記のような課題を抱えることとなった。
◯都市の課題
・地域コミュニティの弱体化による地域活動機会の減少
・情報化・監視社会
・自然に触れる機会の減少
・食物や木材などの作物を育て、創作する機会の減少
・公園など子どもの遊び場での活動制限
◯里山の課題
・急激な人口の減少
・少子高齢化による人手不足、活力低下
・農業、林業の衰退による耕作放棄地の増加、森林管理の放棄
・獣害の深刻化
これらの課題は、相互に補うことが可能である。そのため、我々は都市と里山の間に交流と循環を生むことで、これらの課題を解決することができるのではないかと考え、そのための施設を構想したのである。
■都市と里山の交流を生む建築プロセス1ー森とのつながり
里山の森との直接的関係性から建築をつくるために、里山である能勢町の林業家との対話を始めた。
その森では現在、広葉樹を中心とした林業が行われている。クヌギやコナラの雑木林を伐採して薪などの燃料として販売している。日本では1960~70年代の高度経済成長期から針葉樹の植林による林業が進められており、原生林である広葉樹林が針葉樹林に置き換えられている。この森では、元来の植生に戻す林業の取り組みが行われている。
その営みと呼応する広葉樹の建築を作ることを試みた。我々設計者が森に行き、伐採された樹木を1本1本確認し、使用する材を決定した。
日本の建築では一般的に広葉樹を建築材としては使わない。古くは寺院などに使用されてきたが、良質な広葉樹材が手に入らなくなり、針葉樹の植林が盛んになったことで、広葉樹は使用されなくなった。
そのため広葉樹を構造材として使うには、いくつかのハードルがある。乾燥収縮への対応や強度確認の問題である。それらの課題を解決する技術的な検証を研究所や大学の協力を仰ぎながら行い、一つ一つ課題を解決していった。
構造体は全て木造で設計している。広葉樹を皮のついた丸太のまま柱として1列に並べ、柱から出した方杖で屋根をキャンチレバーとして跳ね出した、やじろべえ構造を採用している。地震時の変形に対応するために外周部にバックステイロッドを設けている。
床や天井、外壁など仕上材もすべて里山の森で採れた木材を利用し、コンクリートとガラス以外、その他の材料は使用していない。
平面計画は、この建物で繰り広げられる多種多様な活動を支えるため、オープンなワンルームとしている。建物の四周には内部空間と同程度の広さをもつウッドデッキを巡らせ、深い軒を大きく張り出すことで、屋外での活動のしやすさを高めている。
■都市と里山の交流を生む建築プロセス2ー市民参加
建築の設計段階では、このプロジェクトの運営に積極的に携わってくれるメンバーを募った。
そのメンバーとは、建築のプログラムや完成後の運営方法や活動内容を議論した。参加したメンバーはそれぞれ、生活や地域に対して問題意識をもっている。
その問題意識をプロジェクトに反映していくことを設計段階で試みた。そのような民主的な計画策定プロセスを行うために、我々はこのプロジェクトを「各々がやりたいことをやれるプラットフォーム」として位置づけ、市民の積極的な関与をプロジェクトに取り込んだ。
そのプロセスの成果として企画されたのが、建設と並行して広場やビオトープなどのランドスケープを整備する市民参加のワークショップである。自由に遊べる芝生広場が欲しいという希望から生まれた、地域の子どもたちが主体となった芝生張りワークショップでは、自らの遊び場を自分たちの手でつくることで、子どもたちのこの場所への帰属意識を育んでいった。ウッドデッキも、森から材料を調達し、地域住民自らが制作した。
緑のない都市部に生物多様性に触れられる場所が欲しいという希望から、ビオトープが生まれた。近隣の小学校と連携して環境教育の授業を実施し、都市や里山の生態系について学ぶとともに、その実践として本敷地でのビオトープづくりに小学生が参加した。
建物の完成後もここでは継続して子どもたち向けの環境教育が行われており、里山への遠征を行い、森の生態系を体験するというプログラムも定期的に開催され、都市と里山の交流が行われている。
■市民が主体的に参画して運営される建築
建設のプロセスに市民の参加を促したことで、建物のオープニングイベントには500人以上の市民が参加した。
日常的な建物の利用に加えて、定期的にここではマーケットが開催されており、多数の市民だけでなく行政も参加している。
この建物およびランドスケープ、植栽の維持管理・運営もすべて地域住民によって行われている。この建物では、地域貢献活動や地域の子供達への教育活動も行われており、それらは、全て自主参加メンバーの発案からそれぞれの活動が行われている。
■建築と人が生み出す循環と持続可能性
このプロジェクトでは、都市と里山の間に循環を生むことで、地域間の持続可能性を高めることを目標としている。
カフェや木工室では、里山の食材や木材が日常的に消費されている。マーケットなどのイベント時は、里山の生産者がここで野菜などの販売を行い、多くの人が集まる。
子どもたちへの環境教育は、環境問題への意識を培い、地球環境の保全に貢献する。この建築を通して、都市と里山の人々の交流による地域間の循環が生まれている。
さらには、人やモノの循環だけでなく、建築も環境負荷の低減に貢献する設計を行っている。まず、建築自体をほぼ木材だけでつくっている。木造建築はCO2を貯蔵する箱のような役割を果たし、地球温暖化の抑制に貢献する。この建築はCO2を18.3t固定しており、大阪府から認証を受けている。
エネルギーに関しては、Zero Energy Buildingとして設計することで、実質的に建物が使用するエネルギーをゼロとしている。これは日本の認証制度で、一般的な建物と比べて、50%使用エネルギーを削減し、太陽光発電で50%のエネルギーを創出することで、ゼロになるという仕組みである。
建築というハードと人の交流というソフトの両面から、これまで日本になかった持続可能な建築を実現することができた。
■建築概要
題名:江坂ひととき
所在地:大阪府吹田市江坂町2-2-15
主用途:飲食店
設計:蘆田暢人建築設計事務所 担当/蘆田暢人、張賀鈞(元所員)
施工:山本工務店、安田工匠
協力:大阪府森林組合
構造:木造
階数:地上1階
敷地面積:853.76㎡
建築面積:173.71㎡
延床面積:120.30㎡
設計:2021年6月~2023年10月
工事:2023年10月~2024年10月
竣工:2024年10月
写真:大竹央祐