渕上達矢 / zeal architectsが設計した、熊本・玉名郡の住宅「江田の家」です。
設計者と施主が幼少期を過ごした家の隣に計画、場への想いを受け継ぐ事を目指して共通記憶の“切妻のシルエット”を基に形状等を設計、開口は合理化も進めつつ河川側に開き記憶の中の“川辺の景色”の再現が意図されました。
雄大な河川に沿って建つ、一戸建て住宅の計画。
建主である私の弟家族は、これから始まる子育ての場所として祖父母が暮らし、自らも幼少期を過ごした思い出の敷地を選択した。既存の住宅も思い出が詰まった場所ではあったが、老朽化も進み、そう遠くない未来に姿形が失われることが予見された。
そのため、今回の計画では、そちらには手を加えず、隣に建てる新居にこの場所で過ごしてきた記憶の要素を取り入れることで、後世へその思いを受け継いでいきたいと考えた。
この住宅は、共通の記憶としてあった「遠方から見える切妻屋根のシルエット」を意識して、既存の住宅と屋根の形状やスケールを合わせている。その一方で、がけ条例の規制範囲を回避し、大型車両が頻繁に行き交う道路からの距離を確保するため、建物幅を縮小、長さのある2層のヴォリュームとした。
また、既存の住宅において、強風や埃を避けるために締切りとなっていた道路側の開口部は、新居では設けない計画とした。代わりにそちら側へは内部動線を集約することで、全ての居室を河川側に配置、同様に記憶として残る「窓から見える川辺の景色」を再現した。