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玉井洋一による連載コラム “建築 みる・よむ・とく” 第5回「“偽”ペット・アーキテクチャー」
玉井洋一による連載コラム “建築 みる・よむ・とく” 第5回「“偽”ペット・アーキテクチャー」

建築家でありアトリエ・ワンのパートナーを務める玉井洋一は、日常の中にひっそりと存在する建築物に注目しSNSに投稿してきた。それは、誰に頼まれたわけでもなく、半ばライフワーク的に続けられてきた。一見すると写真と短い文章が掲載される何気ない投稿であるが、そこには、観察し、解釈し、文章化し他者に伝える、という建築家に求められる技術が凝縮されている。本連載ではそのアーカイブの中から、アーキテクチャーフォトがセレクトした投稿を玉井がリライトしたものを掲載する。何気ない風景から気づきを引き出し意味づける玉井の姿勢は、建築に関わる誰にとっても学びとなるはずだ。
(アーキテクチャーフォト編集部)


“偽”ペット・アーキテクチャー

玉井洋一による連載コラム “建築 みる・よむ・とく” 第5回「“偽”ペット・アーキテクチャー」 photo©玉井洋一
text:玉井洋一

 
 
仕事で山形を訪れた時のこと。駅前通りの大きな建物に紛れて、居酒屋の看板を高く掲げた小さな建物があった。

小さな敷地に建つ小さな建物に、大きな看板を取り付けて付加価値を高めるやり方は、地価の高い駅前や繁華街ではよくあることで珍しくはない。

しかしよく観察してみると、小さな建物に見えたヴォリュームは、正面向かって右側にある12階建てのオフィスビルの一部であることがわかった。このヴォリュームは、オフィスビルから発生した「こぶ」のようなもので、小さな建物を装っているが、実はオフィスビルの地下にある居酒屋への入口だった。

なるほど、これは街中にある小さな建物の持つイメージや形式性を逆手にとった、オフィスビルの巧妙な戦略なのではないだろうか。

俗っぽい大きな看板や居酒屋という機能を街中によくある小さな建物に擬態させたヴォリュームに集中させることで、それらをオフィスビルから視覚的に分離することに成功している。看板の方杖がオフィスビルから離れて設置されていることも居酒屋の独立性を高めることに一役買っている。

他方で、俗っぽさを分離することでガラス張りのカーテンウォールを基調とした端正でモダンなオフィスビルのファサードが通りに対して形成される。そして、その構えによって働く場としてのオフィスビルの純粋性や象徴性が保たれる。

求道学舎再生等を手掛け学会賞も受賞する実践者で教育者 田村誠邦と、創造系 高橋寿太郎による「建築サバイバル塾 KSJ」が、無料オンライン説明会を開催。KSJは、設計事務所が“サバイバル力”を身につける為、経営・マーケティング・不動産等のスキルを高める実践的な学びの場
求道学舎再生等を手掛け学会賞も受賞する実践者で教育者 田村誠邦と、創造系 高橋寿太郎による「建築サバイバル塾 KSJ」が、無料オンライン説明会を開催。KSJは、設計事務所が“サバイバル力”を身につける為、経営・マーケティング・不動産等のスキルを高める実践的な学びの場

求道学舎再生や同潤会江戸川アパートメント建替え事業等を手掛け日本建築学会賞も受賞する実践者で教育者の田村誠邦と、創造系不動産の高橋寿太郎による「建築サバイバル塾 KSJ」が、無料オンライン説明会を開催しています。KSJは、設計事務所が“サバイバル力”を身につける為、経営・マーケティング・不動産等のスキルを高め、また志を同じくする仲間を見つけることができる、実践的な学びの場です。オンランセミナー&説明会&個別相談会の参加費は無料です。【ap・ad】

はじめまして。建築サバイバル塾KSJ塾長の田村誠邦です。

私はこれまで30年余りにわたり、延べ15,000人以上のプロの方々に建築・不動産の実務ノウハウを教えてきました。そうした中で、多くの設計事務所が安定的に仕事が取れずに、将来に対して漠然とした不安を抱いていることに気づかされました。設計事務所の経営者や建築士は、建築のデザインや建築技術を磨いて、仕事を受注しようとしています。もちろん、建築のデザインや建築技術を磨くことは、設計事務所として、建築士として当然だし素晴らしいことですが、それだけで仕事が取れて、堅実な経営を行うことは難しいのです。

まして、超高齢社会、人口減少時代を迎え、新築の需要は急激に減少しつつあります。昨年度の新築住宅着工戸数は、昨今の厳しい状況で、81.25万戸にまで落ち込みましたが、野村総研の予測では、20年後の2040年度には、41万戸と昨年度の約半分にまで落ち込むものと予測されています。急激な人口減少がつづく我が国では、新築については、住宅に限らず非住宅についても、同様の傾向をたどるものと考えられます。いま、順調な経営状況にある設計事務所においても、根元的な「サバイバル力」を身につけることが、これからの新築減少時代を生き抜くために不可欠となるのです。

こうした状況の中で、私は創造系不動産の代表である高橋寿太郎さんと共に、新築減少時代を逞しく生き残る「建築サバイバル力」を身につけられるような実践的な学びの場として、「建築サバイバル塾KSJ」を2021年1月に開設いたしました。「お客様から選ばれ、仕事を継続的に創り出し、経営を成功させたい!」「新築減少時代を逞しく、クリエイティブに生き抜きたい!」と思われる方、ぜひ建築サバイバル塾KSJの仲間になりませんか?

田村誠邦

株式会社アークブレイン 代表取締役
2021年3月まで明治大学理工学部 特任教授
一級建築士、不動産鑑定士、博士(工学)
東京大学工学部建築学科卒業。
三井建設株式会社、シグマ開発計画研究所を経て、1997年株式会社アークブレインを設立。

【主な業務実績】
同潤会江戸川アパートメント建替事業(1977年~2005年)
求道学舎再生事業(2004年~2006年)
六本木ヒルズ地権者権利床民事再生スキーム(2000年~2002年)
国際文化会館再生事業(2006年改修工事完成)
2008年日本建築学会賞(業績)
2010年日本建築学会賞(論文)受賞

ネリ&フーによる、中国・深センの「南投市ゲストハウス」。既存建物を改修した宿泊施設で都市の中に古さが残る街の特徴に注目、路地裏や日常を取り込む為に構造体に切込みを入れ垂直な中庭を計画、空間や意味を創造し都市の流動に溶け込ませる
ネリ&フーによる、中国・深センの「南投市ゲストハウス」。既存建物を改修した宿泊施設で都市の中に古さが残る街の特徴に注目、路地裏や日常を取り込む為に構造体に切込みを入れ垂直な中庭を計画、空間や意味を創造し都市の流動に溶け込ませる photo©Chen Hao
ネリ&フーによる、中国・深センの「南投市ゲストハウス」。既存建物を改修した宿泊施設で都市の中に古さが残る街の特徴に注目、路地裏や日常を取り込む為に構造体に切込みを入れ垂直な中庭を計画、空間や意味を創造し都市の流動に溶け込ませる photo©Chen Hao
ネリ&フーによる、中国・深センの「南投市ゲストハウス」。既存建物を改修した宿泊施設で都市の中に古さが残る街の特徴に注目、路地裏や日常を取り込む為に構造体に切込みを入れ垂直な中庭を計画、空間や意味を創造し都市の流動に溶け込ませる photo©Chen Hao
ネリ&フーによる、中国・深センの「南投市ゲストハウス」。既存建物を改修した宿泊施設で都市の中に古さが残る街の特徴に注目、路地裏や日常を取り込む為に構造体に切込みを入れ垂直な中庭を計画、空間や意味を創造し都市の流動に溶け込ませる photo©Chen Hao

ネリ&フーが設計した、中国・深センの「南投市ゲストハウス」。既存建物を改修した宿泊施設で都市の中に古さが残る街の特徴に注目、路地裏や日常を取り込む為に構造体に切込みを入れ垂直な中庭を計画、空間や意味を創造し都市の流動に溶け込ませる事が意図されました。

こちらは建築家によるテキストの翻訳です

切開 / 南投市ゲストハウス

城中村(cheng-zhong-cun ※都市の中の村)とは、工業化以前の集落の名残が、一見すると現代的な大都市の中に存在している現象のことです。ネリ&フーが11室のゲストハウスを建設した南投市は、そのような城中村の一例です。驚異的な発展を遂げる深センの中心に位置する南投市は、裕福な古都から現在のような過密な都心へと発展してきました。現在、南投市を訪れると、住民、露天商、子供、遊牧民が行き交う路地、広場、行き止まりなどにすぐに入り込むことができます。

このプロジェクトは、南投市の路地裏の活気ある環境からインスピレーションを得て、ありふれたものの中にある文化的遺産について考察することを目的としています。人、物、環境といった日常的なシーンが、デザインの主要な素材となるのです。城中村の生活を祝うために、既存の構造体を切り込み、マスキング戦略で、プライベートなアパートメントブロックの内側に新しい公共空間を作り出しました同時に、発掘調査によって、まるで遺跡のように多くの物質層や建築構造が明らかになり、新たな介入によって、過去と現在の間に思いがけない対話が生まれることになるのです。

南投市ゲストハウスのリサーチとデザインプロセスを通じて、スヴェトラーナ・ボイム(Svetlana Boym)の「反射的ノスタルジア」というトピックに関する著作が、このプロジェクトの背後にある思考を導いてくれました。このプロジェクトは、単に表面的な物質的効果を求めて過去を模倣するのではなく、ある種の過去が現代文化を活性化させる可能性を掘り起こすことを目的としています。都市のレイヤリングと断片の包含という概念を探るため、テクトニック・ランゲージを開発し、主要なファサード要素として軽いスクリーンのような被覆材と、スカイラインを「覆う」ものとして対照的に重く表情豊かなアッサンブラージュの2つの処理を明確にしました。

南投の都市景観は、路地の賑わいと同じように、屋根にも個性があり、ギザギザのスカイラインに沿って仮設の庭や野菜畑が点在しています。この進化し続けるヴィレッジの景観を再構築するために、フラットなフローティングルーフを設置し、眼下のストリートライフと上空の新しいパブリックグラウンドのドラマチックなパノラマを創り出しました。屋上の金属製モノリスは、パブリックスペースやサービス機能を備え、屋根裏のスペースに乏しい居住者が求めるヴァナキュラーな付属物として機能しています。

南投の都市構造の真髄である有機的な循環と関わるために、ゲストハウスのアクセスやパブリックスペースは、敷地内にある複雑な路地のネットワークに織り込まれるように設計されています。ゲストハウスの新しいエントランスは、建物の中心部に直接横道が伸びており、まるで隣人や友人を自分の家に招き入れるかのようです。

【ap job更新】 山路哲生建築設計事務所が、設計スタッフ(経験者・新卒既卒・業務委託・パート)とアルバイトを募集中
【ap job更新】 山路哲生建築設計事務所が、設計スタッフ(経験者・新卒既卒・業務委託・パート)とアルバイトを募集中
【ap job更新】 山路哲生建築設計事務所が、設計スタッフ(経験者・新卒既卒・業務委託・パート)とアルバイトを募集中

山路哲生建築設計事務所の、設計スタッフ(経験者・新卒既卒・業務委託・パート)とアルバイト募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

山路哲生建築設計事務所について

隈研吾建築都市設計事務所を経て2015年に設立した山路哲生が主宰する建築設計事務所です。近年開業された渋谷駅スクランブルスクエアや、中国を中心とした海外の大規模な開発に携わってきた一方、住宅やホテルの内装・家具、また小さな屋台の設計など幅広いスケールで設計をしております。徐々に活動規模が広がるこの過渡期に、一緒に計画に参加してくれる仲間を募集しています。

都市部では今注目されるベンチャー企業やディベロッパーとの協業が弊社のひとつの特徴となっています。現在建設中の銀座のオフィスビル(新建築2月号別冊掲載)では解体以前から既存の建物を街に開放するアートイベントを開催し、その一連の活動においてこれからの建築士賞を受賞しています。また、昨年からデザインコードによる新しい設計手法「ASOLIE」を協働開発し、リリースしています。

今まさに大きく変わろうとしている産業構造の中で、建築によって実現されるものも建築が担う枠組みも変わり続けています。建築を軸にまちづくりから家具デザインまでスケールを横断して設計に携わることで業種間における不要な障壁を乗り越え、きめ細やかな社会をつくることを目標としています。達成すべき目的の為に同業、異業種関わらず、様々な業種の方とチームをつくり協働し、既成の設計の枠組みを超えた設計手法を模索しています。

建築士としての経験・技術の習得ができるとともに、幅広い職種の方々と協働することができます。現在代表含めて8名(設計士7名、事務会計1名)の小規模な事務所ですので、実力に応じて早期にプロジェクトリーダーとして担当頂きます。各人の責任も大きいですが与えられる裁量も大きくなります。小規模だからこそ各人の個性を存分に発揮し、その挑戦と成長を共に楽しんでくれる気質・性格の方をお待ちしております。代表の山路は大学講師を兼務しており、人材育成や研究・開発にも力を注いでいます。

またオフィスを数事務所でシェアしているため日常的に10~20名程の設計スタッフが在席しています。普段から他事務所との交流が図れるので、風通しが良く、同年代のスタッフ同士で互いに切磋琢磨できる職場環境にあります。

【ap job更新】 建築設計を通じて持続可能な社会づくりへの貢献を目指す「腰越耕太建築設計事務所」が、設計スタッフ(経験者・新卒既卒)を募集中
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建築設計を通じて持続可能な社会づくりへの貢献を目指す「腰越耕太建築設計事務所」の、設計スタッフ(経験者・新卒既卒)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
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腰越耕太建築設計事務所では、業務拡大に伴い、プロジェクトマネージャーとして業務に携わってくれる方(正社員)、設計スタッフ(正社員)を募集いたします。

私たちは建築設計を通じて、持続可能な社会づくりに貢献していきたいと考えています。現在進行しているプロジェクトの多くは、軸組工法やCLTパネル工法などの木質構造を採用しています。木を構造材として使用することで炭素を固定化し、環境問題解決の一翼を担ってゆければと考えています。環境にとってプラスになることを意識しながら、日常生活を豊かにするようなデザインを目指しています。

2010年の事務所設立以来、個人住宅を中心に設計を行ってきましたが、2018年のTHE WOODの竣工を契機に、中大規模建物の仕事が増え、現在複数の案件が進行中です。また、CLTパネルを用いた高層建築物や、CLTの別荘等を設計中で、木造の新たな可能性にチャレンジしています。

国内外のコンペにもチャレンジしており、プレゼンテーションが得意な方を歓迎します。また、必須ではありませんが英語が得意な方優遇します。

向上心と誠意をもって建築設計に向き合っていける方、明るくコミュニケーション能力に長けている方、長期的にスタッフとして活躍してくれる方のご応募をお待ちしております。

川西康之 / イチバンセンによる、新潟・上越市の「IM TAXI LOUNGE」。タクシー待合所で観光案内機能も持つ建築で、地場の木材活用を目指して構造・仕上げ・サッシ等の全てに県産材を利用、構造形式の開発による開放的な空間は地域交流の場としても機能
川西康之 / イチバンセンによる、新潟・上越市の「IM TAXI LOUNGE」。タクシー待合所で観光案内機能も持つ建築で、地場の木材活用を目指して構造・仕上げ・サッシ等の全てに県産材を利用、構造形式の開発による開放的な空間は地域交流の場としても機能 photo©Nacasa & Partners Inc.
川西康之 / イチバンセンによる、新潟・上越市の「IM TAXI LOUNGE」。タクシー待合所で観光案内機能も持つ建築で、地場の木材活用を目指して構造・仕上げ・サッシ等の全てに県産材を利用、構造形式の開発による開放的な空間は地域交流の場としても機能 photo©Nacasa & Partners Inc.
川西康之 / イチバンセンによる、新潟・上越市の「IM TAXI LOUNGE」。タクシー待合所で観光案内機能も持つ建築で、地場の木材活用を目指して構造・仕上げ・サッシ等の全てに県産材を利用、構造形式の開発による開放的な空間は地域交流の場としても機能 photo©Nacasa & Partners Inc.

川西康之 / イチバンセンが設計した、新潟・上越市の「IM TAXI LOUNGE」です。タクシー待合所で観光案内機能も持つ建築で、地場の木材活用を目指して構造・仕上げ・サッシ等の全てに県産材を利用、構造形式の開発による開放的な空間は地域交流の場としても機能しています。

北陸新幹線上越妙高駅前に計画された、観光案内の機能を持つタクシー待合所。

建築家によるテキストより

地域における積極的な木材活用を目指し、構造・仕上げ・サッシ・家具・外構の全てに新潟県産材を用いた。また、県産スギ材で三翼型の新たな構造形式を開発することにより、豪雪地帯の積雪荷重に対応しつつ開放的で快適な待合空間を実現させた。

建築家によるテキストより

外壁のコールテン鋼、家具の本革、そして県産木材と、経年変化を楽しめる素材を積極的に採用することで、年数を経るごとにこの建物が地域に馴染んでいくことを目指した。

地域の魅力を伝える木製壁面書棚もあり、お客様を暖かく迎え入れる待合空間は、タクシーを待つだけではなく新たな地域交流の場としても活躍している。

建築家によるテキストより
最も注目を集めたトピックス [期間:2022/2/28-3/6]
最も注目を集めたトピックス [期間:2022/2/28-3/6]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2022/2/28-3/6)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. 岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・金沢市の、自邸兼事務所「北陸住居 No.1」。地域と向き合いバナキュラーと作品の間の在り方を模索、建築に伝統的中庭“セド”を現代化した空間を設け公と私を緩やかに接続、歴史を基とした北陸らしさの実践を通し建築の普遍的可能性も追求
  2. 村山徹と杉山幸一郎による連載エッセイ ”今、なに考えて建築つくってる?” 第1回「コストとレギュレーション」
  3. ピーター・ズントーによる家具コレクション。半世紀に渡り手掛けた建築の為にデザインされた家具を再構成し、椅子やテーブル等7型がラインナップ、日本の家具ブランド“Time & Style”が製品化
  4. 出町慎 / SAJIHAUSと河津恭平による、兵庫・丹波市の「納屋の改修」。歴史ある母屋に隣接する納谷活用の相談から開始、既存の時が停止した様な状態を肯定的に捉えて活かす方法を構想、環境を読み解き冬室と夏室を設け“自分だけの時間”を感じる空間をつくる
  5. 大野友資 / DOMINO ARCHITECTSによる、東京・品川区の、マンションショールーム「PROUD GALLERY GOTANDA」。建設解体等の労力を要する施設の在り方に施主と問題意識を共有し設計、変更の容易さと過程の省エネを意識しカーテンで空間を構築、物件で使用予定の素材等の流用により価値の再発見も意図
  6. 小原賢一+深川礼子 / ofaによる、兵庫・神戸市の「六甲最高峰トイレ」。六甲山の価値向上と整備の為に作られた公共トイレ兼休憩所、ここだけの環境の楽しみを意図しベンチの形状や天高の変化により多様な居場所を設計、折れ繋がる屋根は周囲の山並みとも呼応
  7. 隈研吾建築都市設計事務所による、静岡・小山町の「足柄駅・足柄駅交流センター」の写真
  8. 田中亮平 / G ARCHITECTS STUDIOによる、埼玉の住戸改修「アイランドキッチンの家」。コロナ禍で都心から近郊外にUターンし在宅勤務する施主で、既存の小割平面を繋げた上で用途に合わせ仕上げ等を様々に展開、中央にキッチンを計画し家族の“集まり住まう”を後押し
  9. MVRDVによる、オランダ・ロッテルダムの仮設イベントスペース「The Podium」。建築月間の為に既存ビルの屋上に作られる約600㎡の仮設イベントスペースで、足場構造とリサイクル可能なピンクの床材で構成、都市の屋上活用の有効性を示すことも意図
  10. 子浦中 / シオ建築設計事務所による、茨城・つくば市の、ZOZO社物流拠点の休憩ラウンジ「Cooperate Lounge」。スタッフの個性と多様性への応答を考慮し、空間の目的から連想した意匠を採用する事で特徴の異なる二つのラウンジを設計、コーポレートカラー採用等で連帯感を高める建築の在り方も探求
  11. 森下陽 amp/アンプ建築設計事務所による、静岡・浜松市の「仏壇仏具店 迦葉」。国道沿いの敷地で道からの視認性向上と入りやすさの要望に、駐車場を奥に確保した上で建物間口を最大限広くし道路側に配置して前面を緑化、小屋組表しのおおらかな内部空間で気軽さと安心感を与える
  12. 木下昌大 / KINO architectsによる、福岡の「福岡市平尾霊園合葬式墓所」。死生観等の変化に沿った新たな形態の公共墓地、特定の宗教観を避け故人を偲ぶ場とすべく敷地の山の力を借りる計画を考案、山裾の献花台を取り囲む円弧状壁が追悼の為の非日常をつくる
  13. スイスを拠点とする建築設計事務所 E2Aの展覧会「スイス建築の方法論」が、東京都内の4カ所の会場で分散開催
  14. 中野晋治建築研究室による、福岡・福津市の住宅「川沿いの家」。海に近く川と道に挟まれた敷地に計画、周辺環境を調整できる柔軟な建築を目指し大型開き戸を考案、開閉により視線や通風等を制御でき住み手がその時々に必要な状態をつくる
  15. 烏野良子 / 烏野建築設計室による、岐阜・高山市の「丹生川の古民家」。明治築の民家を改修した住宅と家具工房のショールームで、要望と面積のバランスを考える中で工房制作の建具等を用いて再生する計画を構想、展示物と一体化した建築の在り方を目指す
  16. 長坂常 / スキーマ建築計画による、三重・多気郡の、店舗「尾粂」。地方再生を目的とする施設の中に計画された築地老舗卸の店舗で、“賑わいのデザイン”を意図して近隣の人流を読み配置等を決定、更に建物内の厨房や棚等の配置でもお客の購買行動を促進
  17. 隈研吾建築都市設計事務所による、スイス・ジュネーブの宿舎「Student dormitory Grand Morillon」の写真
  18. 齋藤弦 / Strings Architectureによる、東京・中央区の住戸改修「勝どきのタワーマンション」。都市と住空間が直結する関係性とそこに住む意義を再考し計画、レイヤー構成により活動に応じて都市との距離感を調節できるよう設計、建築形態の特徴である“眺望”を生かすプランニングも意図
  19. 大松俊紀アトリエによる、椅子「After Dark」。菊川工業と作るアルミ製の椅子で、半円座面に浮遊感を与える為に最大限の薄さを目指し4mm厚を実現、特異な形状は不安感と安心感が入り混じった複雑な心境をもたらす
  20. 赤松佳珠子+大村真也 / CAtによる、広島・因島の「土生公民館」。少子高齢化が進む町で旧小学校跡地に公民館を移転する計画、周辺民家に溶け込むよう建物スケールを分節し素材も町並みからサンプリングし設計、ささやかな日常を支える集いの場を目指す

ドルテ・マンドラップに、計画を進めている「EXILMUSEUM」について聞いているインタビュー。ナチス政権の間に逃亡した人々の物語を伝える新しい博物館

ドルテ・マンドラップに、計画を進めている「EXILMUSEUM」について聞いているインタビュー。ナチス政権の間に逃亡した人々の物語を伝える新しい博物館です。2020年8月にコンペでの勝利が伝えられていました。動画の制作はルイジアナ美術館。英語字幕付き。

(翻訳)
「世界でかつてないほど多くの難民が発生している今日、大いに関係のある話です。この博物館が、亡命を余儀なくされることの意味を理解することの重要性に注意を促すことができればと思います」
ベルリンの歴史的な鉄道駅、アンハルター・バーンホフの廃墟のポーチの後ろに設置された新しい亡命博物館の設計という畏怖すべき仕事を引き受けたデンマーク人建築家、ドルテ・マンドラップの紹介です。

「ここは、何かを作るにはとても痛烈な場所です。1933年にベルリンを離れた元ドイツ人亡命者のインタビューを聞くと、皆この場所のことを話しています。彼らは皆、アンハルター・バーンホフで自分の家や愛する人に別れを告げたと語っています」とマンドラップはこの場所について語ります。
この断片は、ヨーロッパの現代史の重要な断片を体現しています。1920年代から30年代にかけてヨーロッパ最大の駅として、ベルリンの賑やかで創造的な首都と、ナチズムの台頭による荒廃を目の当たりにしたのです。

「感傷的になったり、誇張したりすることなく、その歴史に敬意を表したいと思っています。新しい建物とポルティコの間に空間をつくり、駅が取り壊されてからの歴史と時間を表現します」と、マンドラップはこのプロジェクトについて述べています。
新しい亡命博物館は、第二次世界大戦中に追放された人々の物語を伝えると同時に、現在も故郷を追われた何百万人もの人々の運命を明らかにすることを目的としている、とマンドラップは説明します。
「この作品は、世界でかつてないほど多くの難民が発生している現在、非常に重要な意味をもっています。母国語や文化とともに、自分のアイデンティティを失ってしまうのです。すべての特徴があなたを作り、あなたのアイデンティティを構成しているのです。ですから、亡命博物館が、亡命を余儀なくされることの意味を理解することの関連性に注意を喚起することができればと思います」

ドルテ・マンドラップ(1961年生まれ)は、1991年にデンマークのオーフス建築学校を卒業しました。8年後、コペンハーゲンを拠点にスタジオを設立し、現在もクリエイティブ・ディレクターを務めます。独特のノンコンフォーマリズムを持つヒューマニストとして、ドルテ・マンドラップは、建築の発展に尽力し、公開討論に頻繁に参加していることで知られています。彼女は数多くの賞を受賞しており、最新のものは以下の通りです。2021年RIBA名誉委員会メンバー、2021年ICONIC賞アーキテクト・オブ・ザ・イヤー、スイス・メンドリシオ・アカデミー客員教授、カナダ・AZ賞環境リーダーシップ賞2020、芸術アカデミーによるベルリン芸術賞、権威あるミース・ファン・デル・ローエ賞2019のチェアウーマン。2018年、グリーンランドのイルリサットにある彼女のアイスフィヨルド・センターは、ヴェネチア・ビエンナーレのキュレーションによる国際展の一部となりました。2022年、ドルテはヨーロッパで最も古く重要な文化機関の一つであるベルリンの芸術アカデミーの会員に選出されました。

長坂常 / スキーマ建築計画がHyundaiの為にデザインしたモバイルハウス「旅する住まい」をレポート。自動車の蓄電池から都市生活を持ちだすアイデアを構想、木と布を素材とし出来るだけ軽くつくり、気楽に出かけられる事も意図
長坂常 / スキーマ建築計画がHyundaiの為にデザインしたモバイルハウス「旅する住まい」をレポート。自動車の蓄電池から都市生活を持ちだすアイデアを構想、木と布を素材とし出来るだけ軽くつくり、気楽に出かけられる事も意図IONIQ 5とモバイルハウス「旅する住まい」 photo©architecturephoto
長坂常 / スキーマ建築計画がHyundaiの為にデザインしたモバイルハウス「旅する住まい」をレポート。自動車の蓄電池から都市生活を持ちだすアイデアを構想、木と布を素材とし出来るだけ軽くつくり、気楽に出かけられる事も意図 photo©architecturephoto
長坂常 / スキーマ建築計画がHyundaiの為にデザインしたモバイルハウス「旅する住まい」をレポート。自動車の蓄電池から都市生活を持ちだすアイデアを構想、木と布を素材とし出来るだけ軽くつくり、気楽に出かけられる事も意図 photo©architecturephoto

長坂常 / スキーマ建築計画がHyundaiの為にデザインしたモバイルハウス「旅する住まい」をレポートします。自動車の蓄電池から都市生活を持ちだすアイデアを構想、木と布を素材とし出来るだけ軽くつくり、気楽に出かけられる事も意図されました。東京・原宿のHyundai House Harajukuにて展示されています。長坂の展示の会期は2022年3月8日まで(同企画は別の建築家やデザイナー達により2022年5月28日まで続く)。

こちらは会場レポートです

建築家でスキーマ建築計画を主宰する長坂常と自動車メーカーHyundaiとコラボレーションしたモバイルハウス「旅する住まい」が公開中だ。この展示で、長坂はHyundaiのIONIQ 5で牽引するモバイルハウスをデザインした。

長坂は、Hyundai のバッテリー式電気自動車IONIQ 5の特徴である2日分の蓄電池を保有していることが構想の出発点になっているのだと言う。蓄電池があれば、週末に都市生活をそのまま持ちだす事が出来ると考えこの作品を構想したのだ。

そして、会場でも公開されているインタビューで語られているのだが、このモバイルハウスは、木で骨格をつくりナイロンの布地を張り、そこに薄く樹脂を塗布することで出来ている。より詳しく構法について聞くと、木製の骨格に、ナイロンの布地を水に浸透させて骨組みに張り、乾燥すると布地が縮んでピンと張れる水張りという方法を採用しているとのこと。それによって、たわみないが布の特徴でもある光の透過性、柔らかさ、軽さを実現させたのだそうだ。

長坂は、出かけることの気軽さを実現するために、物理的な“軽さ”にもこだわったのだと説明する。
実際にこのモバイルハウスを目の前にしても、非常に軽い構築物と言った印象を覚える。

筆者が、この会場を訪れて実物を見て気づいたことは、このモバイルハウス「旅する住まい」がキャンプにおけるテントとキャンピングカーの中間に位置するような存在であるということだ。テントは折り畳みが出来てコンパクトに持ち運びが可能であるが、「旅する住まい」のような環境から守られている感覚はないだろう。またキャンピングカーには様々な設備が整っているが、「旅する住まい」のような軽さは持ち合わせていない。

末光弘和+末光陽子 / SUEP.の、TOTO・ギャラリー間での建築展「Harvest in Architecture 自然を受け入れるかたち」
末光弘和+末光陽子 / SUEP.の、TOTO・ギャラリー間での建築展「Harvest in Architecture 自然を受け入れるかたち」淡路島の住宅 兵庫県(2018年) photo©Shinkenchiku-sha

末光弘和+末光陽子 / SUEP.の、TOTO・ギャラリー間での建築展「Harvest in Architecture 自然を受け入れるかたち」が開催されます。建築を地球環境における生命活動を促す媒体として位置づけ、自然環境の働きをシミュレーションして設計の起点とし、建築を媒介した資源の循環システムを構築する活動を行う設計事務所です。

TOTOギャラリー・間では、末光弘和+末光陽子 / SUEP.(スープ)の展覧会「Harvest in Architecture 自然を受け入れるかたち」を開催します。

SUEP.の特徴は、建築を地球環境における生命活動を促す媒体として位置づけようとする思想にあります。

彼らは地勢、水脈、植生、生態系などに着目し、自然環境にある風・熱・水などの働きをシミュレーションして設計の起点とすることで、建築を媒介した資源の循環システムを構築しています。自然に対して建築が寛容なアプローチをすることで、自然の恵みを得るとともに、それが持続できる社会を目指しています。また建物の居住性能を上げるという機能面はもちろん、住まう人、使う人たち、地域の人たちが、その循環の一員として参加する喜びを分かち合えることも大切にしています。

本展のタイトル「Harvest in Architecture」には、私たちが日々地球の恵みを受け取れることへの感謝と、それを継続するために行う努力への決意が込められています。展覧会では、彼らが行ってきたリサーチや検証と、それらがどのようなかたちで建築の循環システムに結実してきたかが明かされます。

彼らの取り組みは、建築が地球とつながり、未来を拓くためのチャレンジの連続といえます。人間が地球の恵みを一方的に搾取するのではなく、自然との共生により豊かな恵みが続いていく、そのために建築家として果たすべき役割は何か。本展覧会を通して、彼らの思考と試行の全貌をご覧いただきます。
(TOTOギャラリー・間)

リリーステキストより
ピーター・ズントーによる家具コレクション。半世紀に渡り手掛けた建築の為にデザインされた家具を再構成し、椅子やテーブル等7型がラインナップ、日本の家具ブランド“Time & Style”が製品化
ピーター・ズントーによる家具コレクション。半世紀に渡り手掛けた建築の為にデザインされた家具を再構成し、椅子やテーブル等7型がラインナップ、日本の家具ブランド“Time & Style”が製品化Therme Vals / Vals, Switzerland / 1996
ピーター・ズントーによる家具コレクション。半世紀に渡り手掛けた建築の為にデザインされた家具を再構成し、椅子やテーブル等7型がラインナップ、日本の家具ブランド“Time & Style”が製品化Zumthor House / Haldenstein, Switzerland / 2005
ピーター・ズントーによる家具コレクション。半世紀に渡り手掛けた建築の為にデザインされた家具を再構成し、椅子やテーブル等7型がラインナップ、日本の家具ブランド“Time & Style”が製品化Zumthor House / Haldenstein, Switzerland / 2005

ピーター・ズントーによる家具コレクションです。半世紀に渡り手掛けた建築の為にデザインされた家具を再構成し、椅子やテーブル等7型がラインナップ、日本の家具ブランド“Time & Style”が製品化しました。アーキテクチャーフォトでは全プロダクトを豊富な写真で紹介します。

Peter Zumthor collection はスイス人建築家ピーター ・ズントー及びアトリエ・ピーター・ズントーが半世紀以上を掛けて実現させてきた建築プロジェクトのためにデザインし、製作された家具を編集・再構成したものです。そして、日本の家具ブランドであるタイムアンドスタイルが日本の素材と製造技術で製作し、製品化した家具コレクションです。

ピーター ・ズントーは 、家具を建築の一部として製作しており、家具のみをデザインすることはなく、家具の製品化を目的としてデザインすることもありません。故に 、建築と家具の文脈を結びつけてデザインされた家具は 、ズントーの普遍的な建築の断片を切り取ったものでもあるのです。

アトリエ・ピーター・ズントーが手がける建築プロジェクトは設計のプロセスに膨大な時間とエネルギーが注がれ 、妥協を許すことなく進行されます。長いものであれば 10 年以上の歳月を費やしてデザインの考察を繰り返し、形状や構造 、素材の検討を行い、様々なスケールの模型で検証を重ねながら実現へと向かいます。こうした建築物のためにデザインされる家具もまた同様に 、一切の妥協もありません。

タイムアンドスタイルは日本の歴史と文化を背景とした伝統的な素材と技術を用い、Peter Zumthor collectionの家具を製作しました 。永きに渡り日本に受け継がれている伝統を生かしたものづくりは 、ピーター・ズントーが考える、長い時間軸に耐え得る本質的で普遍的な存在となる建築の創造と言う概念との親和性を持ちます。彼が生み出す建築は 、その土地の風景の一部となって遥か先の未来にも存在するように 、時間の概念を内包しています。Peter Zumthor collection もまた普遍的な存在となる未来のパーマネントコレクションと言えるのです。

カタログより
【ap job更新】 坂茂建築設計が、インテリアデザイン専門スタッフ(契約社員・パート)を募集中
【ap job更新】 坂茂建築設計が、インテリアデザイン専門スタッフ(契約社員・パート)を募集中
【ap job更新】 坂茂建築設計が、インテリアデザイン専門スタッフ(契約社員・パート)を募集中SWATCH HEADQUARTER / photo©Didier Boy de la Tour

坂茂建築設計の、インテリアデザイン専門スタッフ(契約社員・パート)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

坂茂建築設計では、ホテルプロジェクトが複数進行中です。

この度、インテリアデザイン、FF&E(家具・什器・備品)のデザインを専門としたスタッフ(契約社員もしくはパートタイム)を募集します。

プロジェクトチームのまとめ役として、仕事を進めることのできる方を優遇します。

中野晋治建築研究室による、福岡・福津市の住宅「川沿いの家」。海に近く川と道に挟まれた敷地に計画、周辺環境を調整できる柔軟な建築を目指し大型開き戸を考案、開閉により視線や通風等を制御でき住み手がその時々に必要な状態をつくる
中野晋治建築研究室による、福岡・福津市の住宅「川沿いの家」。海に近く川と道に挟まれた敷地に計画、周辺環境を調整できる柔軟な建築を目指し大型開き戸を考案、開閉により視線や通風等を制御でき住み手がその時々に必要な状態をつくる photo©八代哲弥 / 八代写真事務所
中野晋治建築研究室による、福岡・福津市の住宅「川沿いの家」。海に近く川と道に挟まれた敷地に計画、周辺環境を調整できる柔軟な建築を目指し大型開き戸を考案、開閉により視線や通風等を制御でき住み手がその時々に必要な状態をつくる photo©八代哲弥 / 八代写真事務所
中野晋治建築研究室による、福岡・福津市の住宅「川沿いの家」。海に近く川と道に挟まれた敷地に計画、周辺環境を調整できる柔軟な建築を目指し大型開き戸を考案、開閉により視線や通風等を制御でき住み手がその時々に必要な状態をつくる photo©八代哲弥 / 八代写真事務所

中野晋治建築研究室が設計した、福岡・福津市の住宅「川沿いの家」です。海に近く川と道に挟まれた敷地に計画、周辺環境を調整できる柔軟な建築を目指し大型開き戸を考案、開閉により視線や通風等を制御でき住み手がその時々に必要な状態を作れることが意図されました。

若くして家庭を持った夫婦のための家である。将来子供が巣立ったあとの長い人生を、二人で豊かに過ごすための家を求めた。
二度目の家づくりとなる今回は、最小限の予算と規模で計画することとなった。

建築家によるテキストより

敷地は海にほど近く、袋小路になった細い道路と海に注ぐ湾曲した川に挟まれており、通り抜ける心地よい風や川の水位の満ち引きが印象的な場所だった。サーフィンやフラダンスなどを趣味とする夫婦にとって、風や水の気配を感じれるこの場所を選んだことはごく自然に思えた。一方で向かいの家々を跨いだ先に幹線道路が走っており、そこからの視線も考慮しなければならない。
そこで、こうした環境を最大限活かしながらも、住まい手自身がその関わり方を自由に調整できる柔軟な建築を目指した。

建築家によるテキストより

南側の大きな円形テラスは建物へのアプローチやたくさんの植物の居場所となる。隣接したサンルームは普段サーフボードやキャンプ用品を収納する納戸空間であるが、テラスとの境界にあたる半透明ポリカーボネイトの大きな開き戸の開き具合によってその性格は変化する。

また、この開き戸は幹線道路からの視線やサンルームへの通風・日照をコントロールする環境装置でもある。
室内の床は大半を土足可能な土間コンクリートとすることで、円形テラスとサンルームが纏う自由な空気感を内部に引き込みながらシームレスに川へと連続する。

建築家によるテキストより
田中亮平 / G ARCHITECTS STUDIOによる、埼玉の住戸改修「アイランドキッチンの家」。コロナ禍で都心から近郊外にUターンし在宅勤務する施主で、既存の小割平面を繋げた上で用途に合わせ仕上げ等を様々に展開、中央にキッチンを計画し家族の“集まり住まう”を後押し
田中亮平 / G ARCHITECTS STUDIOによる、埼玉の住戸改修「アイランドキッチンの家」。コロナ禍で都心から近郊外にUターンし在宅勤務する施主で、既存の小割平面を繋げた上で用途に合わせ仕上げ等を様々に展開、中央にキッチンを計画し家族の“集まり住まう”を後押し photo©志摩大輔
田中亮平 / G ARCHITECTS STUDIOによる、埼玉の住戸改修「アイランドキッチンの家」。コロナ禍で都心から近郊外にUターンし在宅勤務する施主で、既存の小割平面を繋げた上で用途に合わせ仕上げ等を様々に展開、中央にキッチンを計画し家族の“集まり住まう”を後押し photo©志摩大輔
田中亮平 / G ARCHITECTS STUDIOによる、埼玉の住戸改修「アイランドキッチンの家」。コロナ禍で都心から近郊外にUターンし在宅勤務する施主で、既存の小割平面を繋げた上で用途に合わせ仕上げ等を様々に展開、中央にキッチンを計画し家族の“集まり住まう”を後押し photo©志摩大輔

田中亮平 / G ARCHITECTS STUDIOが設計した、埼玉の住戸改修「アイランドキッチンの家」です。コロナ禍で都心から近郊外にUターンし在宅勤務する施主で、既存の小割平面を繋げた上で用途に合わせ仕上げ等を様々に展開、中央にキッチンを計画し家族の“集まり住まう”を後押しする計画です。

敷地は東京都心から30分程の近郊外の駅直ぐ。駅周辺は1980年代より私鉄民間による一体的な住宅開発が行われ、民間団地群が形成された。その数は延べ20棟にも上る。その最後の棟のとある一室のリノベーション。

クライアントは30代のご夫婦と二匹の猫。元々実家が同棟にあり、コロナによるパンデミックを機に都内からUターンしてテレワークを取り入れたライフスタイルに切り替える事にした。

建築家によるテキストより

建物は4階建ての壁式RC造。部屋は3F~4Fのメゾネットタイプ。小割になっていた既存プランを一つながりのスペースにし、それぞれのプログラムに合わせて家具やカーテン、仕上げ材を様々に展開させた。

建築家によるテキストより

そして一旦バラバラになったものを繋ぎとめているのは、中央のアイランドキッチン。これまでバラバラに生活していた家族がパンデミックを機にもう一度緩やかに集まり住まうという選択肢を模索しつつある、そんな状況を設計に落とし込みたいと思った。

建築家によるテキストより
隈研吾建築都市設計事務所による、スイス・ジュネーブの宿舎「Student dormitory Grand Morillon」の写真

隈研吾建築都市設計事務所のウェブサイトに、スイス・ジュネーブの宿舎「Student dormitory Grand Morillon」の写真が31枚掲載されています。

このコンペでは、700床の学生寮にくわえて、アパートメント、共用キッチン、ランドリー、スポーツ施設、図書館、学習エリア、カフェテリアなどの多種多様な公共的な機能が要求された。

これをうけて まずは地上階に公共性の強い機能、上層階にアパートメントの機能を付置しゾーニングにグラデーションを持たせることにした。そして、建物のヴォリュームをそれに並行してはしるプロムナードで地上階から屋上まで繋ぐことによって、エレベータに大きく依存した通常の垂直的なプログラムの解体を試みた。

すべてのフロアに歩行者がアクセスできるよう、このプロムナードには必要とされるすべての公共的なプログラムが併存している。歩くことを重点におき、住む人同士の出会いを誘発するライフスタイルをかたどった建築が実現した。
出自の異なる数百人の学生たちが共同生活を営みコミュニティーを形成する助けとなることを望んでいる。

隈研吾建築都市設計事務所による、静岡・小山町の「足柄駅・足柄駅交流センター」の写真

隈研吾建築都市設計事務所のウェブサイトに、静岡・小山町の「足柄駅・足柄駅交流センター」の写真が10枚掲載されています。

静岡県小山町の御殿場線足柄駅に併設された木の地域交流センター。駅は、単なる交通施設ではなく、コミュニティの拠点であるべきだと考え、富士山を正面に望む大階段状の多目的空間を創造した。木で作られたこの空間は、駅の待合空間、地域の情報センター、地域アーティストの展示空間、小山町支所等の役割を果たし、地域の人の交流の空間となっている。
屋根は富士山の方角に向かって伸び上がり、深い軒は、放物線のジオメトリーに従って、嵌合する製材で支えられ、富士山のシルエットの曲線と、屋根の構造体とが響き合う構成となっている。構造には富士山金時材の愛称で知られる小山町産の杉材が用いられ、地域産業活性化のシンボルとしても期待されている。

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